アメリカ 1992
監督 デヴィッド・フィンチャー
原案 ヴィンセント・ウォード

初めて見たときは「なんて地味なエイリアン・・・」と肩を落したものですが、20年以上を経過してあらためて見てみると、いや、それほど悪くはないのでは、と思えるのだから、ほんと映画評って、記憶に頼って書いたりしちゃだめだな、とつくづく自分を戒めた次第。
まあ、そのあれだ、2がね、ド派手にエンターティメントすぎた、というのはあると思うんです。
SFスリラーだったはずが、女ソルジャーリプリー、SF怪獣大決戦みたいになっちゃってましたし。
稀代のヒットメーカー、ジェームズ・キャメロンとタメをはろう、ってのがそもそも無理な話であって。
とはいえですね、今作、少なくともリドリー・スコットが画策した密室ホラーみたいなテイストは受け継がれてる、と思うんですね。
フィンチャー流のスリラーとしてとらえるなら、決してそれほどひどい出来じゃない。
せっかくの監獄惑星という魅力的な設定を充分に生かしきれてなかった、というのは確かです。
もっと濃厚な人間ドラマを演出することは可能だった、と思う。
エイリアンの扱いもどちらかと言えば雑。
監督はエイリアンという怪物をどう撮るか、よりも、エイリアンを殺戮者の象徴、みたいな捉え方でカメラに収めているように思います。
どこかモノトーンな印象も受ける暗い画作りも、必要以上に作品を陰気にしたような気もします。
でもそれって、後に喝采を浴びたフィンチャーのサスペンスの流儀、そのままだったりするんですよね。
あ、セブンでやってること、もうエイリアン3でやってるじゃないか、というのが今回の私の発見でした。
度重なるシナリオの改変、土壇場の監督交代劇があった作品として考えるならフィンチャーは本当によくがんばってる、と思います。
なにより、こんな大看板をいきなり新人が背負わされて、それでも自分の味ををきちんと出してる、というのは驚嘆すべきでは、と思ったりもするわけです。
ベクトルは違えているかもしれない。
ペシミスティックなエンディングもあまり好きじゃないです。
でも後の活躍を予見することができるだけの力量はきちんと見せつけている、と私は思いましたね。