1972年初出 山上たつひこ
秋田漫画文庫全6巻
貸本漫画を皮切りにシリアスなSF/ホラー系の作品を多く発表していた作者が初めて挑んだギャグマンガ。
いやもう凄いです。
誌面から臭気が匂い立ってくるよう。
貧乏でもてなくて時間だけはたっぷりある主人公坂向春助の、下半身中心のどうしようもなくバカでデタラメな毎日を、下劣かつ下品、低俗かつ猥雑につづったのがこのシリーズ。
もうそんなことまで描写しなくて良いのにと思えるほど容赦なく下世話で、あまりの毒の強さに最近の洗練されたマンガに馴れた若い読者は強烈な拒絶反応が出るかもしれません。
あまり適切な例えではないんですが、今の読者にもわかるようにいうなら、さらにタチの悪くなった村田ひろゆき、って感じでしょうか。
かくいう私も初読時は正直気分が悪くなった。
そこまで男の生理を生々しく描写しなくていいんだよ!みたいな。
しかしながら本作、確実に悪酔いはするのだけれど、がきデカ初期にも通ずる「汚らしいリアルさを逆手にとったおかしさ」ともいえる、ギャグの新機軸が発現しているように思います。
少なくともこれは赤塚漫画路線にはなかったものでしょう。
私自身が山上ギャグの大ファンになるにはもう少し後の作品の発表を待たねばならないんですが、本作は本作でエポックメイキングな作者初期の記念碑的作品でしょうね。
現在は上下巻で完全版が発売されてます。
がきデカファンは一読の価値有り。
コメント
[…] 喜劇新思想大系路線の薄汚いお下劣ギャグ路線の短編が5編と、スコラに連載された「メロンな二人」を10話収録。 […]