2024 日本
監督 下津優太
脚本 角田ルミ

何をやりたかったのかはよくわかるが、力入りすぎて現実味が吹き飛んでます
田舎の祖父宅にて、埒外の凶事に遭遇した女を描くホラー。
ま、やりたかったことはわかります。
わかりやすく言っちゃうなら、『座敷童を強制的に作り上げることができれば幸福を招くことは可能』って話なんだと思うんですね。
しいては幸得るには贄が必要、であると。
いうまでもなくそれは資本主義社会の縮図であって。
その恩恵を受けたくば清濁併せ呑むしかないだろ、みたいな。
ただね、この作品が根本的に失敗してるのは、どういう形の贄を用意すれば、どういう法則で幸福は訪れ、その際のリスクはなんなのか?を一切つまびらかにしなかったことにあって。
茫漠と、雰囲気だけでシステムが回っていくんですよね。
見目はエキセントリックなんですが、ルールが全くわからないんで、主人公と祖父一家の対立にベクトルが見いだせなくて。
もうね、言ったもの勝ちみたいな。
「早く贄を用意しないと大変なことになる」って祖父は言うんだけど、その大変なことが最終的にはどういう事態なのかはっきりしないので、反証も反駁もできぬまま主人公はただ子供のように反抗するしか術はなく。
そもそも祖父母の行動が最初からおかしかった、ってのもあって。
認知症みたいな振る舞いをするじいさん、ばあさんがいきなり出血するシーンをジャンプスケアみたいに撮ってるけど、常識的に考えて「まずは病院行けよ」って話で。
怖っ、じゃねえだろって。
結局、ずっと相手の掌の上なんですよね、なんの説明もないままなんで。
つまりは、両者の争いにオカルトなりのロジカルな立証と反証がないんです。
そうなの、と無理矢理納得するしか物語を咀嚼する方法がなく。
さらには、作中で起こる数々の怪異、怪奇現象に、全く脈絡もつながりもないのが難点で。
急に運動家みたいな姉が出てきたか、と思えば頭カチ割られるわ、ババアは勝手に妊娠してるわ、で。
もうね、半分ぐらい怪奇幻想譚みたいになっちゃってるんですよね。
やっぱり、狂うにしても道筋は必要なわけで。
なぜそうなったのか、なぜ今こうしているのかを全く説明できないままスピードだけどんどんあげられてもひたすら現実から乖離するばかりで。
とどのつまり、いくら地域ぐるみとはいえこんな風習が根付くのは社会性なさすぎて無理、という結論に至っちゃう。
いや、いちいち含むものというか、アイロニカルな意味が込められてるのはわかります、それはもちろんわかるんだけど、そっちばかりに血眼になりすぎて物語が瓦解しかかってるように感じましたね、私は。
うーん、贄になんかしゃべらせてほしかったな、って。
贄が話せば第三者視点が生まれたと思うんですけどねえ。
なんだろ、派手にすっころんだローズマリーの赤ちゃん(1968)だなこれ、って少し思いました。
私にとっては不気味だったが、怖くはない映画でしたね。
ねじレート 55/100

