2021 アメリカ
監督 クロエ・ジャオ
脚本 クロエ・ジャオ、パトリック・バーリー、ライアン・フィルポ、カズ・フィルポ

確かに冗長に感じるところはあった、だが後半の愛憎入り混じる劇的な人間ドラマですべて帳消し
MCU、フェイズ4の第三弾。
人類を太古から見守ってきた『エターナルズ』と呼ばれる外宇宙人の地球での活躍を描いた作品。
いうならばクラーク・ケントがいきなり10人登場したようなもの、って考えていいんじゃないですかね。
ま、エターナルズの場合、10人それぞれが違う能力をもってるんで、どっちかというとXメンみたいなもんかな、と思うんですが(目から光線出るやつもいるし)、それにしたって人数多すぎ。
もうね、ヒーロー居すぎでデフレスパイラル起こしてますからね。
こうも次から次へと新顔登場してくると、むしろヴィランの方が数足りなくなってくるんじゃねえか、って。
ていうか、なんでそうも毎回毎回都合よく地球の危機なんだよ、と。
ありがたみがないというか。
あと、オープニングで、
6つの特異点の発生前、この世の創造より前にセレスティアルズが出現。第一天界人のアリシェムが最初の太陽を創出~
って、ナレーションがあるんですけど、あのね、何を言ってるのかまったくわからんから。
これまでに20作以上発表しておきながら、この期に及んでさらに新しい世界線を押し付けるのかよ、と。
もう宇宙神話の領域やんか。
ぶっちゃけ、今度こそはさすがにしくじってるんでは、と思いました。
オープニングからして全くのれない。
太古からいる宇宙人キャラが現代人と同じような外観、倫理観なのも安直に感じましたし、紀元前の大昔から物語が始まるのも「そこまで遡るのかよ・・」とうんざりでしたし。
また、構成があんまり上手じゃないんですよね。
現代と過去が劇中でやたら行ったり来たりするんですけど、それが物語のテンポを悪くしてるし、流れを断ち切りがちで。
こういう映画の場合、過去シーンはここぞという場面で短めにしたほうが絶対に良くて。
あと、多様性への配慮なんでしょうけど、否差別に必死過ぎなのが逆に嫌味で。
だってね、キャスティングに白人、黒人、アジア人、インド人が居るばかりか、聾唖にゲイにマ・ドンソクまでいるんですよ(マ・ドンソクは常に別枠)。
物語がそれを欲してるんなら仕方ないです、でもそうじゃないですからね、だってエターナルズ、宇宙人だし。
外的要因なのが丸わかりですからね。
やりすぎは冷めるんだって。
中盤ぐらいまで、あんまり集中できなかったのは確か。
ところがだ。
そんな私ですら、気が付きゃ前のめりにさせちゃうのがマーベル映画の底力というか、クロエ・ジャオのうまさというか。
なんか中盤以降に愛憎入り混じる人間ドラマが待ち受けてたりするんですよ、全員宇宙人なのに。
しかもそれがミステリ調の驚きの真相をもって展開される、ときたもんだ。
もう終盤なんてみんながみんな痛々しいわ、やばいのが復活しようとしてるわで画面にくぎ付け状態。
まさかマーベル映画で、カタストロフと同時に、こんなノワールのようなやるせなさが描かれるなんて思いもしなくて。
ラストなんてイカリスが見てられなくて、はからずも涙腺が緩みかけたり。
いやはや立ち上がりの遅さや、テンポの悪さを見事帳消しにした終盤の追い上げでしたね。
いやはやマーベル映画、ほんと規格外だな、って。
毎回毎回、必ず水準以上のものを用意してくるんだから恐れ入る。
あと、この作品、広島の原爆投下後のシーンを描写してて、ちょっとびっくりしましたね。
私の知る限りでは戦争映画を除いてアメリカ映画が広島を描写したことって、ほぼなかったと思う。
そこは評価されるべきかもしれません。
あれこれ気になる点もあったが、終わってみれば大ボリュームの大作で十分面白かった、それが正直な感想でしょうか。
ねじレート 88/100

