2023 日本
監督 山口淳太
脚本 上田誠

そうこれ、こういうのでいいんだよ!と拍手を送りたくなる秀逸なSFコメディ
エンドレスに繰り返される、2分間のタイムループを描いたSFコメディ。
ネタ自体になんら新鮮味はないと思うんですが、京都の貴船を舞台とし、たったの2分間で『どうにかしなきゃいけなくした』ルール作りのうまさが光った一作だったと思いますね。
知ってる人は知ってると思うんですけど、貴船と言えば『京都の奥座敷』と呼ばれた有数の観光地で、訪れる客にもそれなりの品格が求められるところだったりするわけです(最近はそうでもないのかな)。
そんな由緒ある貴船で「これが落ち着いてられるかあ」とばかり、客も従業員も上へ下への大騒ぎ、ってのがなんともギャップがあって楽しくて。
ループを繰り返すたびに深刻さが軽減して、登場人物たちが脱線しまくっていく展開も実に愉快。
事態の最中、昼寝をしてた料理人のタクが登場してからの展開なんて、ラブコメかと思いましたからね。
またセリフ回しというか、登場人物たちの会話のラリーがウィットに富んでて。
これは作品を制作したヨーロッパ企画の主宰、上田誠が劇団を率いていることが影響してるんでしょうけど、もうね、おしゃべりがいちいち面白いんですよね。
毎回の二分間のドタバタをほぼワンショットで追ったカメラワークも考えられてるなあ、と思いました。
なんかもう仲居さんずっと走ってるやんか、みたいな感じでやたらと臨場感があって。
いささか齟齬があるかもしれませんが、これも、ジェットコースタームービーよな、と思ったり。
貴船の移ろいゆく日々を『2分間のループする日常』とは別の世界線として描写した、コントラストのつけかたもいい。
突然、雪景色だったりするんですよね。
絵面が世界から取り残された空間を自然に演出するというか。
二分間のループする謎を解き明かしたエンディングも優秀。
いやもう、なんじゃそれ!と一斉にツッコミが入りそうなチープさなんですけどね、私は思わず笑ってしまいましたね。
藤子不二雄か!みたいな。
でもその等身大というか、変に本格的じゃない『ちょっとふしぎ』な感じがね、なんかこの作品にぴったりなんですよね。
いや、面白かった。
どっちかと言えば小品だと思うんですが、小粒ながらもツボをついた一作だったと思います。
しかしこれ、撮影に臨んだ役者さんたち、大変だったろうなあ、と思います。
特に主演の藤谷理子、雪の貴船を着物姿で走り回ったり、川渡ったりでクソ寒かったんじゃないかと。
なのにずっと底抜けに明るいんですよね。
彼女の溌剌さに助けられてる部分もあった気がしますね、私は一発でファンになりました。
唯一気になったのは、登場人物が誰一人として関西弁じゃなかったこと。
ヨーロッパ企画は京都の集団なんで、関西弁にしようと思えばできたと思うんですが、たぶんあえてそうしなかったんでしょう。
なにか意図があったんでしょうね、元京都の人間としては京都弁が聞きたかったところですが、まあいいか。
どうあれ、気軽に見れて、楽しい気分になる秀逸なコメディなのは間違いないです、おすすめ。
タイトルのセンスも秀逸。
ねじレート 88/100

