2021 アメリカ
監督 デスティン・ダニエル・クレットン
脚本 デイブ・キャラハム、デスティン・ダニエル・クレットン、アンドリュー・ランハム

ハリウッドが作り上げた世界水準の香港カンフー映画
MCU、フェーズ4の第二弾。
遡るならマトリックス(1999)を皮切りに、ハリウッドは香港カンフー映画に色気を見せてきたけれど、ここまで丸ごとやり口を模倣したのはこの作品が初めてじゃないですかね。
いやもう中華ファンタジーやん。
ター・ロー村を初めてトニー・レオンが訪れるシーンとか、グリーン・ディスティニー(2000)かと思ったよ、私は。
ユエン・ウーピンのクレジットがないぞ、って。
ストーリー展開や、父子の対立に主題を置くプロットもまさに香港カンフー映画をお手本にしたかのようで。
最終決戦の前に修行を積むシーンまであるもんなあ。
しかもその指導を引き受けるのが、ミシェル・ヨーときた。
序盤のバス暴走のシーンはあたかもポリス・ストーリー(1985)だしね。
香港映画のおいしいところ取りなんですよね。
よくぞまあ、天下のMCUがここまで臆面もなく徹頭徹尾サルマネに徹したもんだな、と。
ジャッキー映画由来っぽい、ユーモアまでありますからね。
しかしながら、さすがはMCUというべきか、模倣のレベルが本歌取りといってもいい精度でありクオリティだったりするんで、いきあたりばったりの香港カンフーとは仕上がりに格段の差があって。
格闘シーンしかり、ドラマ部分の演出しかり、キャラクターの立て方のうまさしかり、そんじょそこらのカンフー映画が束になっても勝てないクラスの出来だったりするんで困ったもの。
勝手に香港カンフー(中華ファンタジー)の集大成みたいな感じになっちゃってるんですよね。
ハリウッドが本気で香港映画作ったらこうなった、みたいな。
なので「まんまやん」と思いつつも、これが面白いわけだ。
しかも終盤には、ドラゴンVS〇〇の怪獣大決戦まであるというサービス精神ぶり。
ゴジラファン(コングファン?)まで取り込もう、ってか。
もう、こんなことされたら香港はおちおち低予算でカンフー映画も撮ってられない、と思う。
莫大な資金を投じて、本気でアメリカ人が『俺たちの香港カンフー』を作り上げちゃってるんだもの。
しかもこれがアベンジャーズの前フリにすぎない、ってんだもんなあ。
恐るべし、の一言ですね、MCU。
ただね、個人的にはキャスティングにやや疑問を感じなくもなくて。
特に主演のシム・リウ。
白人社会の美意識というか、審美眼にはルーシー・リューの頃から疑問を感じていた私ですが、今回も同様、あまりにシム・リウ、華がない。
いやこの人、言われなきゃ中古車販売店の営業マンやないかい、と。
鍛え上げられた肉体美は素晴らしかったですよ、でも主演の器か、これ?と。
ルッキズムだとか多様性とか色んなバイアスかかってんのかもしれないですが、もうちょっとなんとかならなかったのか、と。
アジア圏でシム・リウかっこいい、って言う人、ほとんどいないと思うぞ、悪いけど。
また髪型が激務に追われる中堅サラリーマンみたいでもーほんとに・・。
相棒のオークワフィナもなあ、日本人的感覚でいうなら、難波のスーパー玉出で買い物かごさげてうろついてる近所のおばちゃんですよ、どう見ても。
なんで大阪のおばちゃんをMCUに抜擢してんだ?と思うわけですよ。
主演コンビ双方が普通のオッサンとオバハンって、相当ですよ、これ。
もう、やばいぐらいに感情移入できないですからね、いや、お前がそんな大それたヒーローなはずがない、なんかの間違い、って脳がずっとアラーム鳴らしてんだもの。
なので私にとってはこの作品、面白いんだが、変な人が出てる映画、ですね。
最後の最後まで違和感、ぬぐえなかったんですよねえ。
せめてシム・リウが性格俳優さながら演技上手かったらまた見方も変わったんでしょうけど、それほど達者でもなかったりするんでね・・・。
ま、感じ方は人それぞれなんで、キャスティングに違和感感じなかった人にとっては「今回もめっちゃ面白かった」一作になることだろうと思います。
質は高いと思いますね。
ねじレート 80/100

