2025 日本
監督、脚本 オダギリジョー

もはや実験的と言ってもいい、シュールでナンセンスなコメディ
2021年にNHKで放映されて人気を博したドラマを映画化した作品。
ドラマシリーズの演出、脚本、編集をオダギリジョーが務めてたらしいんですが、今回は監督も兼任。
いや、これね、近年まれにみるとがった仕上がりなことは間違いないですね。
よくまあ商業映画でここまで冒険が許されたことよな、って。
もう、いきなり冒頭からわけわかりませんから。
キャバレーみたいな場所で主要登場人物がテーブルを囲む中、いきなりオダギリジョーが撃たれて椅子からひっくり返るんですよ?
場面演出がヨーロッパのクライムアクションかと思ったわ。
えっ、なんか違う映画を間違って見てる?俺?って。
主人公ハンドラーだけがオッサンの姿に見える警察犬の話じゃなかったのかよ、って。
しかもそんな衝撃的なシーンに、一切何の説明もないまま、物語はしれっとカリスマハンドラー、羽衣弥生のストーリーにシフトですからね。
いやいやなんだったんだよ、撃たれたシーンって。
そこからもストーリーは暴走しっぱなし。
どこでもドアみたいなのをくぐってたこ焼きの国に行くオッサンのエピソードやら、スーパーボランティアが海に消えたエピソードやら、加賀丈史が女装癖を告白するやらでまとまりも統一感もなく、ただシュールに脈絡無視の、辻褄だけを合わせていく展開に終始。
いや、ウェス・アンダーソンでもここまで無茶はせんわ、と思う。
あえて近いところを探すなら、オフビートでナンセンスな感じがロイ・アンダーソンのリビング・トリロジー(散歩する惑星、愛おしき隣人、さよなら人類)に似てる気もしましたね。
しかし、ロイ・アンダーソン思い出させるだけでも大したもんだわ、オダギリジョー。
時効警察の頃からいつかなにかやるんじゃないか、と思ってましたが、温めてたアイディアや磨き上げたテクニックを全部ぶち込んできた感じですね。
はっきりいってひたすらばかばかしいし、意味不明だし、見る人によっちゃあ「わけわからん」の一言で片づけられてしまいそうな作品ですけど、遊び心全開なのにこだわりまくってる仕上げに私は感心しました。
デティールや見せ方、編集にすごく気を使ってるのが見ててわかる。
そりゃ深津絵里も8年ぶりに出演決めるわ。
こんなの余所にないもん。
全力でバカやってるのに、不思議とセンスが光る一作。
オダギリジョーは制作側に回った方が記憶に残る作品を作るかもしれない。
ただ惜しむらくは、この手の映画って、日本じゃ大きくヒットしないだろうと思われること。
それでも彼には映画製作続けてほしいな、と思いました。
三谷幸喜の10年は先行ってるコメディ映画だと思いますね。
無駄にアートな絵作りや、落差きつすぎるエンディングも好きだなあ、俺。
ねじレート 86/100

