2022年初出 山口貴由
小学館 ビッグコミックスペリオール 1~2巻

日本の特撮技術に心酔した熱烈なマニアたちを描く青春群像劇。
なんせまあ、主人公の名前が実相寺二矢ですから。
ああ、そういうことね、みなまで言うな、と。
作者なりの昭和特撮史を裏側から再構築したいのかなあ、なんて最初は思ってたんですが、読み進めるにつれどうやらそうでもない様子で。
登場する特撮ヒーローは全部架空のものなんですが、そんなヒーローたちに憧れ過ぎたがゆえ、自分たちでも同じスーツを作ってヒーローになり切ろうじゃないか、という、いわゆるコスプレ気質な人たちを描くことに物語は注力していて。
これをコスプレ気質と呼んでしまうとあれこれ反駁されてしまうかもしれませんが、実際、目線はものすごくニッチなところに照準合わされてると思うんですね。
で、そのニッチさが読者を選ぶだろうな、と。
正直、私も作中の登場人物たちほど特撮に対する熱量は高くない。
どこまでヒーローに迫るのか、その内面すらも模倣しようとするストイックさに感心はするものの、共感はしない。
そもそも特撮のヒーローって、私にとって裏側は見せないでほしい存在なんですね。
映像作品としてワンパッケージであって、単独でフィギュアや変身ベルトを愛でる存在ではない。
なので私とこの物語には、嗜好性の違いというか、愛情の注ぎ方の違いが明確すぎて、埋めようもない断絶があるんです。
「ミカドヴェヒターの爆心踵のために背に圧縮空気瓶を背負う必要がある」とか言われても知らんがな、って話で。
それはすでに本編映像が我々に届いてる段階で、もう終わったことなんじゃねえのか?と。
いや、身も蓋もないのは自分でもわかってるんですけど、私はその熱意がなぜ自分たちだけのヒーロー作品を完成させる方向へと向かないのか、不思議でならんのですね。
こだわりの強さが隠れ蓑なごっこ遊びじゃないか、って。
うがった見方なのかもしれませんが、作者の心情もこの作品には反映されてるのかもなあ、なんて思ったり。
前作、衛府の七忍(2015~)があのザマですから。
常に新しいヒーローを創造し続けてきた山口貴由が、集大成と思われる前作で尻すぼみというか投げっぱなしで読者置いてけぼりですからね。
もう、ヒーローは描けない、と思ったのかもしれない。
ある意味、ヒーローになれなかった敗者たちの言葉を代弁するつもりでこの作品を描いたのかもしれない。
だからと言って東島丹三郎は仮面ライダーになりたい(2018~)みたいなことをやられてもなあ、ってのはあるんですけどね。
まあ、いいか。
どうあれ、私はこの作品、ちょっと合わないです。
相変わらずオープニングから男性ヌードだわ、ひたすら熱いわで山口節は健在なんでファンは裏切られたとは思わないかも。
そういえばいつのまにか女性キャラをそれらしく動かせるようになってましたね、作者。
エクゾスカル零(2010~)とか目も当てられん感じだったからなあ・・。
この年齢にして、まだ進化してるのは素晴らしいとは思いましたね、内容はともかくとして。

