2023年初出 外園健
集英社ジャンプコミックス 1~7巻

拳銃ではなく剣が進化した世界を舞台にしたスチームパンク剣戟アクション。
いやもうね、なんじゃこれ、ってレベルでクッソ面白いです、この漫画。
さすがは話題になるだけあるわ、って。
やってることはそれほど大胆でも革新的でもなく、どっちかというといいとこどりみたいな感触もあるんだけど、呪術廻戦にも怪獣8号にもダンダダンにもスパイ×ファミリーにもはまらなかった私がこの作品にだけはなぜかはまった。
自分でもなんでドはまりしてるのか、うまく理由を説明できないんだけど、主人公である六平千鉱が妖刀『淵天』を抜いて「涅・・」と唱えた瞬間、背景に真っ黒な金魚が泳ぎだした瞬間、気持ちを全部もっていかれたのは確か。
誤解を恐れずに言うなら、この手の水墨画的アート感覚って、中国の巨匠(映画監督)チャン・イーモウに通ずるものがあると思うんですね。
あたしゃ1巻手に持ったまま吠えましたよ「これ、SHADOW/影武者(2018)やないかい!」って。
いまだかつて剣戟アクションでこの手の表現を見たことがなかったんでね、震えましたね。
血しぶき舞う妖刀の斬撃と金魚を取り合わせる、というセンスがそもそも素晴らしいと思うんです。
平和の象徴みたいな扱いの金魚という魚のはかなさを絵面から汲み取ってほしいのか?などとついおかしな邪推をしたりも(考えすぎ)。
破綻なく緻密な物語設計も新人とは思えぬ力量で。
復讐譚として孤独に力押しでストーリー進めていくのかな、と思いきや、神奈備(公的組織)と主人公の駆け引きを物語の新たなページとする巧みさなんかもあって。
予想外の裏切りや隠された真相を匂わす展開もいい。
どっちかというと大人向けなんですよね、筋運びが。
こんなの少年には伝わらんだろ、ってな重厚なドラマもあって。
それでいてちゃんと少年漫画らしく熱い友情や連帯もあるもんだから、なに、このベテランはだしな硬軟自在のシナリオは、ってなもの。
あと、大きなテーマである敵討ちであり復讐が、ともすれば色を変えそうな気配があるのが私の注目する点で。
ひょっとするとこの作品は「許し」をテーマにしてるんじゃないか、などと。
いや、わかんないですけどね、こればっかりは。
ともあれ、私が読んだ7巻までの段階では全くテンション落ちてないですし、面白さに陰りもありません。
唯一、自信もってお勧めできないのは絵柄ぐらいかな。
下手ではないと思うんですが、時々変な線があったり。
それを見にくい、と捉える人もいるかもしれません。
いやーアニメ化決まったみたいですが、ぜひ見てみたいですね。
剣戟シーンがどうなるのか、今からワクワクしてる次第。
あと、どうでもいいけどシャルどこいった。
おいしいキャラ用意するなあ、などと思ってたんですが、途中から出なくなったぞ。
飽きたの?
今のところ、2020年代、三本の指にはいる収穫ですね、この作品。

