2022 日本
監督 廣木隆一
脚本 堀泉杏

気づかなかったのか、そもそもわかってないのか不明だが、どこへも着地しなかった一作
サスペンスだとばかり思っていたら、普通に人間ドラマ(母娘ドラマ)で拍子抜け。
うーん、これどうなんでしょうね、私の勝手な思い込みなんですけど原作で描かれてた何かが抜け落ちてやしないか?って気がするんですよね。
湊かなえって、こんな直球投げる人じゃなかったような気が。
調べてみると、原作では叙述トリックが物語のスパイスになっていたとか。
ああ、なるほど、と。
それを知ってひとつ解せたのは『時系列がものすごくわかりにくいシークエンスの挿入』が、おそらく原作における叙述トリックの部分だったんだろうな、と。
いやね、主人公女子高生が、私服姿で会社の同僚らしき人間と飲んでるシーンが何度か挟まれたりするんですよ。
全く意味わかりません。
さっきまで学校行ってたのに、なんで次の場面では酒飲んでるの?みたいな。
えっ?どっちかが心理描写だったり夢だったりするのか?とマジで悩んだ、私は。
ごめん、はっきり言う、下手すぎやせんか、構成が。
もしこれで叙述トリックのつもりなんだったとしたら致命的に頭が悪いし、単にネタバレ承知で主人公の未来を冒頭からさしはさんでるんだとしたら物語の引きや盛り上げ方を知らなすぎるとしか言いようがない。
この時点で軽く30点は減点。
あと、もうひとつ私が気になったのは、主人公の母ルミ子のクセの強さを、女には「母」と「娘」の二種類がいる、などというセリフでまとめちゃってること。
いやいやいや女がたった二種類なら古今東西の男はこんなにも苦労せんわ!って話でね(その逆もしかりなんでしょうけど)。
申し訳ないけどルミ子は、そんな安直なカテゴリーでまとめられるほどよくいるタイプじゃない、と思うんですね、私は。
元凶はルミ子の母で、共犯関係(共依存)にあることは間違いないと思うんですが、それにしたって異常ですよ、ルミ子の執着は。
「我が母のためのロジック」があそこまで雑音に惑わされることなく成立してる女なんてそうそういない、と思うんです。
つまり、ルミ子と娘の関係って、特殊でレアケースだと思うんですね。
それをさもありそうな親子事情みたいな感じで描かれてもなあ・・・って。
特に大地真央演じるルリ子の母の最期のシーンなんてもう、宝塚かよ(先入観もあるかもしれんが)ってな案配で演劇じみてて、現実離れしちゃってますから。
こんな人いる?って。
これ、共感できる人がいるのか?って。
さらに最悪だったのがエンディング。
母と娘(主人公)の間にあれだけのことがあったのに、何の説明もなくいつの間にか和解してたりするんですよ、二人。
いや、普通はこんなの断絶だろう、と。
詳しくは書けないけど、子に対する母のあの行為を許せる人間なんて宗教者にしか存在しないと思います、私は。
よほどのことがないと和解できないと思うし、この特殊な母娘のドラマをきちんと終わらせたいのなら、どうやって母娘はあの事件を乗り越えたのか?を描いてこそ完結だったと思うんですね。
すっとばしてるんだもんなあ、一番肝心な場面を。
なにをやりたかったんだろう、と思いますね制作側は。
ただエキセントリックなだけなら韓国ドラマでもみときゃいい、って話だから。
テレビドラマっぽい平坦な画づくりも気になった。
ま、大地真央を母(祖母)役、戸田恵梨香をルミ子役にキャスティングした残酷さはえぐいな、と思いましたけどね。
あとは高畑淳子か。
すげえ憎らしいババアを鬼気迫る勢いで演じてて目を見張った。
それ以外は特に評価できる点はなし。
個々の役者さんは頑張ってたと思うんですが、サスペンスを捨てた上でなにを描くべきなのか、まとまってない一作というのが私の感想。
何のために母側と娘側で視点を変えて同じシーン撮ったんだよ、と思いましたね。
どこにも着地してないし。
うーん、なぜヒットしたのか私にはわからん。
ねじレート 55/100

