2022 日本
監督 片山慎三
脚本 片山慎三、小寺和久、高田亮

佐藤二郎はミスキャストだったかもしれない
ある日突然姿を消した父親を、単独で探す娘の姿を描いたサスペンス。
原田楓を演じた伊藤蒼が圧倒的に素晴らしかった、その一言に尽きますね。
何もできない子供なんだけど、子供なりに精一杯背伸びして大人と張り合う役柄がまさにドンピシャというか。
関西弁がまたいいアクセントになっていて。
大阪にほんとに居そうな感じなんです、こういう女子中学生。
比して佐藤二郎は、悪くはないんだけど最近見た爆弾(2025)ほどのインパクトはなく。
関西人にしかわからないことなのかもしれませんが、関西弁のイントネーションがちょっとおかしいんですよね。
伊藤蒼がナチュラルなだけに、その不自然さが余計に際立つ有様で。
舞台を西成にしたのが逆効果だったかも。
西成にあんなしゃべり方をするオッサンが居たら間違いなく周りから不審がられますから。
「なんやあんたそのしゃべり方?どこからきたんや?」ってなもの。
特にシリアスなシーンとか、佐藤二郎の関西弁がきつくて内容が頭に入ってこなかったり。
片山慎三監督、豊中の人なのになあ、『おかしい』ことに気付かないはずがないと思うんですが、なぜこれでOKにしちゃったんだろ?疑問ですね。
で、肝心のストーリーに関してなんですが、ま、それなりに意外性がありはしたものの、残念ながらいささか説得力に欠ける感触があって。
原田楓の母がどういう形で亡くなったのか?までのくだりは市子(2023)にも似て衝撃的だったんですが、よろしくないのがそれ以降の展開。
指名手配犯である山内照巳と、原田楓の父親である智との関係性に、どこか現実味がないんですよね。
望まれた死を演出するという大義が前提にあるのか、それとも金儲けなのか、単にサイコパスなのか、はっきりしないんです。
あとあと山内照巳は馬脚をあらわすんですが、それゆえ余計にね、大きな報酬が約束されてるわけでもないのになぜ智は関係を断ち切らないままでいるの?と思っちゃうんですよね。
なので終盤の展開も「智、そこまで追い詰められてたか?」としか思えなくて。
エンディング間近の顛末もそう。
なんで智に山内が伝染してんだよ、と。
そもそもこのお話って、おそらく尊厳死が隠れテーマとしてあったはずなんです。
なのに途中からすべてがぐらつきだして、気づいたら智が一人で騒いでるだけ、になっちゃった気がしますね。
ラストシーンの親子卓球は悪くなかったんですけどね。
雨の中の慾情(2024)が素晴らしかったんで遡って見てみた一作ですが、思っていた感じとはちょっと違った、ってところでしょうか。
岬の兄妹(2018)先に見ればよかったかな。
及第点に至らず、ってのが正直な感想でしょうか。
途中まではよかったんだけどなあ。
ねじレート 68/100

