2016 日本
監督 白石和彌
脚本 池上純哉

創作をらくらく超えていく衝撃の事実に立ち眩み
今更なんですけど「これ本当に実話を元にした話なの?」と呆気にとられました。
いやもうね、日本国内の話だとは思えませんね、正直なところ。
法整備の進んでない東南アジア諸国だったらまだわかる。
北海道警って・・・。
しかも2002年。
百歩譲って暴対法以前の70年代~80年代なら「あったかもしれないね」ってなるけど、2002年はマジでないわ。
いかに警察組織が前時代的な縦割り組織であるか、の証左でしょうね。
もちろん地方差はあるんでしょうけど、それにしたってデタラメすぎて立ち眩みでしたね。
だってね、検挙実績上げるために警官が平気で犯罪の片棒かついじゃったりしてるんですよ。
よくある暴対がヤクザとズブズブどころの話じゃないですから。
自分たちで絵図を描いてロシアから拳銃密輸入し、それを一斉摘発する計画を立案したりするんです。
しかもそれが道警の幹部ぐるみ、ときた。
もはや正義も秩序もあったもんじゃない。
警察と名乗ってはいますが、中身は成績至上主義の官僚となにも変わらなくて。
点数稼ぐためなら手を汚すこともいとわず、何でもやる。
そんな連中が拳銃もって市民の安全とかのたまわってるんですから世も末とはこのこと。
私は『稲葉事件』を詳しく知らなかったんで、この映画は衝撃でしたね。
もちろん作品に一切の脚色がないとは思わないですが、それでもこれだけの事件に逮捕者が一人しか出てない、というのは事実ですし、それがありえないのもまともな大人なら誰でもわかる話ですし。
今に至るまで、この事件に関しては全部が狂ってるんですよね。
また、この作品が優れていたのは、なんの志も目的意識もない若者が、流されて組織に染まるとこうなる、ってのを写実に描いていたこと。
主人公である諸星がその典型で、彼にとっては成果を上げることが正義であり、それ以外に憂慮すべきことは職務上ない、と本気で信じ込んでるんですね。
ああ、バカが悪い大人に『その気にさせられる』とこうなるんだ、とつくづく思いましたね、私は。
綾野剛のはっちゃけた演技も諸星のキャラにはまっていたように思います。
ちょっとオーバーリアクション気味かな、と思わなくもないですが、20歳でこれだけできれば上等。
白石監督がこういう社会派の映画撮ってた、ってのも意外でした。
ともあれ、一見の価値あり、だと思いますね。
警察に対する見方が変わります、ほんとに。
マフィア映画好きな人とか、どストライクかも。
アル・パチーノのスカーフェイス(1983)あたりとあんまり変わんないですからね、物語の構造的には。
警察の話なのにマフィアの成り上がりストーリーとあんまり変わらない、ってのがほんとやるせなかったりはするんですけどね。
ねじレート 82/100

