2016年初出 桑原太矩
講談社アフタヌーンコミックス 1~16巻

『龍』と呼ばれる生物が空を飛ぶ世界における『龍捕り』の活躍を描くファンタジー。
叩き台になってるのは、かつては日本でも盛んだったクジラ捕りなのかな、なんて思ったりはするんです。
命も顧みず、一攫千金を狙って鯨組の元、銛打ちに邁進する荒くれどものイメージそのままな舞台設定ですしね。
何故か地域社会からは避けられる(疎まれる)存在、として描かれてるのは、かつての被差別身分が牛や馬の解体に従事し、さげすまれていたことに着想を得たのかもしれませんが、これは別に要らなかったかな、という気がしなくもない。
昔のクジラ捕りは村社会の英雄だったみたいですしね。
作中における『龍捕り』が見下される理由が薄弱なんですよね。
そもそも龍捕りが差別されてる立場なら、乗船メンバーに女性が数人いてオタサーの姫みたいになってるとか、ありえない、と思うんです。
なんでそうも都合のいい形で性が欠落してんの?って。
でまあ、そんな調子で総じてこの作品、あれこれ踏み込みが甘くて。
龍の生態にしたってそう。
あまりに多種多様で埒外すぎるだろ、と。
食物連鎖の外側にいるとしか考えられないわけのわからなさ、なんですよね。
意地悪な言い方をしますが、あーこれ何も考えてないな、と私なんかは思った。
で、その龍の料理をやたらと紹介するグルメ漫画的側面もこの作品にはあるんですが、いやいや生態も系統もわからぬ生物の味とか、どうやって想像しろというんだ、って話でね。
なので主人公の龍の肉への執着に全く共感できなくて。
ああ、変わった人なんだね、とただ傍観するしかなく。
ただね、そういった生ぬるい作劇というか、リアリズムよりもふんわりファンタジックで誰も傷つかない作風が心地よく感じる読者は一定数存在するだろうな、と思ったりはします。
実際、それほど夢中になったわけでもないのになんとなく16巻まで読んでしまいましたしね、私。
しかしながらそれもある日、突然、冷める。
あれ、なんで読んでんだ?ってなる(私の場合)。
アニメ化もされた人気作ですが、少年向きかな、と思います。
無毒であることを美徳と考えるならおすすめかもしれませんね。

