ヴィレッジ

2023 日本
監督、脚本 藤井道人

過疎化の進む山奥の村で暮らす青年の煩悶を描いた人間ドラマ。

オープニング早々、村にできた巨大なゴミ処分場をカメラがチルトするんで、あーこれは地方創生の難しさを描いた社会派の作品なのかなあ、なんて思ったんです。

主人公自身もゴミ処分場で働いてますしね。

藤井道人監督というと、私の場合新聞記者(2019)のイメージが強いんで、きっと今回も陰謀論すらたじろぐほどのえげつない『利権の構造』を白日の下にさらすんだろうなあ、なんて思ってた。

あれ、そうでもないのかな?と考え直したのが中盤ぐらい。

ゴミ処分場の問題に関して、それほど深く掘り下げていかないんですね。

ま、田舎町が補助金目当てでゴミ引き受けたりしたらこうなるだろうな、って、おおむね予測のつく範疇で悪辣なだけ。

これぐらいのことは地方じゃ大なり小なり似たようなもんでしょ、感じで。

となると、田舎町の閉鎖性みたいな部分に焦点を当てたいのかな、と。

主人公、父親が事件起こしたせいで村八分気味なんですよね。

ところがそれも中盤以降の展開で「なんか違う」と感じ始めて。

変な言い方ですけど、村人の嫌がらせというか地域ぐるみでの冷遇に多様さがない。

せいぜい陰口たたくぐらいなんですよ。

そんなの、普通に仕事してても余裕であるわ、って話でして。

これでメンタルやられるとか、子供じゃねえんだから、みたいな。

郵便ポストに動物の死骸つっこむとか、ゴミを集積所に出させないとか、もっと色々やらんかい!と(私がやりたいわけではないからね)見ててつっこみたくなるほど攻撃の手が甘い。

となると、家族問題か?と。

主人公、母親の借金の肩代わりで身動きとれない状態なんですね。

だがそれも終盤の展開で「違う」と確信する。

主人公が村にとらわれているのは本人の問題、みたいな描き方をするんですよね。

自分が変われば周りも変わる、みたいな方向で物語が進んでいくんです。

パチンカスでどうしようもなかった母親も、息子が立派になって更生したような描写すらある。

そんなに簡単な話だったの?と見てて拍子抜けしたぐらいでして。

そこまで考えて、えっ、じゃあ何を描きたかったの?と俄然私は悩みだすわけだ。

まさか『能』ってことはないだろうし。

現状ね『周りにも家族にも恵まれなかった青年が、同級生の助けを得て輝きだすも、ジャイアンがそのまま大人になったかのような村長の息子のせいですべて台無しになる物語』なんですよね。

地方創生も田舎の閉鎖性も家族問題もあんまり関係なくて、すべては『ただついていなかった、村長の息子さえいなければ』になっちゃってるんです。

なんて優しくないお話だろうと。

結局、間接的であっても悪事に加担するような人間は、いつか痛い目に合うとでも言いたいのか、と。

どんな因果応報やねん、と。

もうね、ミヒャエル・ハネケ目指すレベルで後味悪い作品でしたね。

クソ田舎の権力者のドラ息子ほどたちの悪いものはない、この映画が伝えてるのはその一点のみですからね。

これならいっそのこと一ノ瀬ワタル演じる村長の息子をもっとサイコパスにして、悪魔のいけにえ(1974)みたいなスリラーにした方が良かったんじゃねえか、と思ったりしました。

テーマを絞り切れなかった一作でしょうね。

あえもこれも描こうと詰め込み過ぎ。

うーん、私はあんまり評価できないですね。

横浜流星の迫真の演技は素晴らしかったですが。

ねじレート 65/100

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