2024 日本
監督、脚本 齊藤勇起

ミステリと重厚なドラマの両輪で魅せるも、回収できてないネタがいくつかあり
幼馴染の3人組が背負った罪と、22年後に起きた殺人事件との思わぬ関連を描いたサスペンス。
今時珍しいオリジナル脚本の作品、ということで期待値も高まる一方なわけですが、とりあえず前半はしっかり期待に応えてくれた、と言っていいと思います。
罪をかぶった一人の少年と、それを引け目に感じる二人の少年、腹を割って話せないまま大人になってしまった三人が、予想だにせぬ殺人事件によってふたたび顔を合わせることになる・・・といった展開はイントロダクションとして優秀。
しかもその殺人事件が22年前の事件の真相を示唆するものだった・・・ときちゃあ、俄然姿勢も前のめりになろうか、ってなもの。
また、いつまでもあの頃のままじゃない・・とばかりに、三人の生き方や社会的ポジションが、友人関係をどこかギクシャクしたものにする作劇も、ドラマの密度を濃くしていて良かったですしね。
ひょっとするとこれは告解と許しの物語なのかな、と私なんぞは思ったほど。
それでいて最後には、きっちりどんでん返しが待ち受けていたのも、サスペンスとして上出来。
ま、なんとなくね、本当の犯人はお前じゃねえのか?と序盤で感づいてしまう人もいたかもしれませんけどね。
ミステリ擦れした人なんかは意地悪なこというかもしれませんが、物語の骨子は決して悪くないと私は思います。
坂本春を演じた高良健吾のシリアスな演技も素晴らしかったですしね。
この人はカリスマ性あるな、なんて思ったりもした。
問題だったのは、あれこれ枝葉末節を広げ過ぎてストーリーがごちゃごちゃしてしまったこと。
みんな言ってるんでしょうけど、坂本春とヤクザのもめごとは結局どうなったんだよ、って話でね。
すげえ危機感あおっておきながら、ヤクザとの抗争が殺人事件のお膳立てして機能してるだけ、という。
いや、いいんだけどさ、間違ってはいないと思うけど、風呂敷広げたんだったら、多少雑でもいいから畳んでよって。
これじゃあどうしたって消化不良というか投げっぱなしな印象が残る。
間違ってないのに損してると思うんですよね。
あとは22年前の事件の真相が、いささか陳腐というか、そんな展開になる?と疑問に思うものだったこと、ですかね。
嫌味な言い方かもしれませんが、ああいう場面で「一人やるも二人やるも同じ!」ってなるか?と思うんですよ。
普通は逃げると思うんですよね。
衝動犯ではなく、ゆっくり仲良くなって目的を達せようとする人物なら特にね。
ショッキングなオチながらもそのショックに現実味がない。
それとこれは個人的な感覚なのかもしれませんが、もうね、真相にああいう展開を持ってくるのはやめたら?と思ったりもするんですよ。
弱者に対する非道さゆえに、多くの人が過剰な反応をするであろうことを見越してる気がするですよね、制作者側が。
言葉は間違ってるかもしれませんが、あざといと思うんですよね、私は。
少し残念、その一言ですかね。
ただ、作品の質そのものは申し分なかった、と思います。
監督の力量は高い、と思う。
結局私は好みの問題で、ちょっとひっかかってるだけなのかもしれません。
ブラッシュアップしてお話をスリムにまとめた方がいいのは間違いないですけど。
本当は『せつない映画』として評価するのが正しいのかもな、と思うところもありますね。
ねじレート 70/100

