サユリ

2024 日本
監督 白石晃士
脚本 白石晃士、安里真理

一軒家の地縛霊と、一軒家に移り住んだ家族との対決を描いたホラー。

えー、私は原作である押切蓮介の漫画を読んでまして。

当ブログでも紹介してますが、はっきり言って2010年代屈指の傑作と言っても過言ではない出来。

もうね、こんなのそのままやりゃあいいんです。

何もいじる必要なんてない。

多少の配慮が必要なのはせいぜいキャスティングぐらいで、あとはキャラクターといい、物語の展開といい、むしろ映像作品向き、といってよいほど。

白石晃士よりも、漫画をそのまま映像化することにおいては定評のある三池崇史がメガホン握った方がいいんじゃないか?と思えるくらい。

ですんでね、私はむしろ安心して視聴を開始したわけなんですけど(駄作になりようがないという意味で)悲しいかな、悪い意味で大きく期待を裏切られたのが終盤の展開でして。

あーもーーー、なんで余計な改変するかな、って。

誰の発案、テコ入れなのかわかりませんが、一番最悪だったのが、なぜサユリは引き籠るようになったのか、その理由を不登校によるものではなく、父親の問題にしてしまったこと。

諸悪の根源が父親になっちゃうと、主人公の婆さんが老体に鞭打ってサユリの家族にしたことがすべて意味のないことになっちゃうわけですよ。

というか火に油をそそぐだけじゃないかよ、って。

原作が優れていたのは「殺されてさえ、家族を心底恨むことができなかったサユリの哀れさ」を描いていたからであって、それをね「家族全員がサユリへの加害者」にしてしまったら、心霊にロジックで対抗しようとする婆さんの意図が徒労と化してしまうんであって。

解決への道筋が混乱するばかりか、えっ、婆さんアホなん?ってな風にしか映らない。

なぜそれがわからん?と。

余計なことするから収束までが変に回りくどくなって、挙句に無理やりな感動オチの印象を濃くしてることに制作陣は誰もつこっまなかったのか?って。

前半の圧倒的な恐怖から、一気に色を変える後半の挽回劇が本作の真骨頂なのに、最後の最後で台無し。

せっかくの「リベンジのカタルシス」を生ぬるい優しさみたいなものでうやむやにしちゃった罪は重い。

結局、殺され損じゃねえかよ、って。

たとえ心霊と言えど、己が犯した罪は地獄で償わせるし、歯には歯を、目には目をで徹底抗戦する、としたプロットが原作は斬新だったのに、映像化した途端、変なホラーコメディになっちゃってるのはどうしたことか、と。

ま、前半の恐怖演出はさすが白石、なかなか達者だったと思います。

音の使い方がうまいわ、と感心した部分もあった。

婆さんを演じた根岸季衣も悪くなかったですしね。

それだけかな。

うーん、いっそのことホラーコメディにしちゃった方がよかったかもしれないですね、このシナリオに沿うつもりならね。

失敗作だと思います。

余計なことしやがって、を見事体現した一作でしょうね。

あと「元気ハツラツおま〇こまんまん」のセリフでサユリがひるむとか、はっきりいって信じられないぐらいスベリたおしてるからね。

そのあたりのセンスのなさが全ての元凶かもしれんな、と思えてくるほどに。

ねじレート 50/100

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