現象X

2024年初出 温泉中也
エンターブレインハルタコミックス 1巻(以降続巻)

超常現象を専門に取り扱う捜査機関、NPMに籍を置くカナイとアナンのコンビの活躍を描く、一風変わった刑事ドラマ。

作者もあとがきで言及してますが、一読して思い出すのはかつて世界中で大ヒットしたアメリカのドラマ、Xファイルシリーズに他ならないわけで。

Xファイルと違うのは、アナンが猫人間と呼ばれる亜人であること、および一見普通に見える人間が超能力を隠し持ってること、の2点(そういった意味では、エイリアン・ネイションブライトに近いかも)。

たぶん、この先「なぜ亜人が存在するのか?」「どうして超能力が不特定多数に発現するのか?」等、世界そのものが描かれていくんでしょうけど、現時点では、ま、ありがち、というか、さんざん擦られまくってきた世界観ではあるよな、と思ったりはします。

だってねえ、猫耳の亜人(アナン)とかね、どこを萌やそうとしてるわけ?と思うわけですよ、私なんかは。

二次元じゃとうに1周まわって周回遅れ、今やコンセプトカフェぐらいにしか現存してねえぞ、って。

割とアナン、切れ者なんですけどね、どこに共感していいのか(親近感を抱いていいのか)私はちょっとわからなかった。

一話完結のオカルトミステリ仕立てなシナリオは悪くないんですけどね、キャラにのれないせいもあってか、なんだか今一つお話に没入できなくてですね。

事件の真相が毎回超能力がらみ、というのも良くない気がしました。

ただでさえXファイル臭が濃いのに、Xファイルより守備範囲狭くしてどうする、って話でね。

Xファイルなんて、宇宙人にさらわれた妹の謎から始まって、妖怪やら民間伝承やら悪魔にフリークスに陰謀論と、あらゆるオカルトのオンパレードでしたからね、毎回毎回よくぞこれだけ手広くやれるな、と感心するほどでしたしね。

物語構造を模倣しておきながら本家より手狭でピンポイント、ってちょっと違う気がするんですよ、私は。

あと、この手のお話って、Xファイルにおけるスカリーのようにね、非現実否定派なキャラがいないとあんまり盛り上がらないと思うんですよね。

いや、嫌いではないんです。

どっちかというと好きなタイプの作品なんですが、色々足りてない、ってのが正直なところかと。

やりたいことはすごくわかるし、お話づくりも達者かと思うんですが、このままではしぼんでいくばかりな気がしますね。

とか言いながら2巻で劇的に化けたらすまん。

その際は皆さま、ご一報ください。

いまのところ次を読む気はないかな。

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