2024 台湾
監督 ツェン・ダーヘン
脚本 チャン・タイユー

絵面のインパクトほどに内容が怖くなくて脱力
現在は利用されてないリゾートヴィラにて、ライヴ配信したインフルエンサーが帰宅後、なんだかおかしくなっちゃう話。
台湾・中国映画ランキングで公開初週1位、年間ベスト10入りを果たした作品らしいんですが、ぶっちゃけ「何かの間違いでは?」という出来栄えだったりします。
あちらのシーンに詳しくないんで、ホラー映画がどれぐらい市民権を得ていて、年間どれぐらい公開されてるのか、さっぱりわからないんですが、いやいやこれで大騒ぎしてたらフレンチホラー(モーリー&バスティロとかパスカル・ロジェとか)やジェームズ・ワン観たら泡吹いて失神するぞ、って話で。
劇場で吐いた人や、途中退席した人がいたらしいんですが、おそらくホラーそのものに慣れてないんだろうなと思われますね、台湾の人たち。
これがグロいなら、テリファー(2022)なんか即座に発禁処分しなきゃならなくなりますから(個人的にはスベってるジャンル映画でしかないですけどね)。
うーん、どう見てもこじんまりと汚らしいだけだと思うんだがなあ。
で、最もよろしくないのはこの作品が全く怖くないことにあって。
そもそもね、何が原因でインフルエンサーは祟られちゃったのか、よくわからんのですよ。
かつてその場所で邪教の儀式があって、たくさんの人が命を落としたらしいんですが、それがなぜ今回は主人公たちへと悪意が牙をむいたのか?がどうにも不透明なんです。
モウハタとかいう悪い神様みたいなのが蘇ってるらしいんですが、そもそもモウハタは何の目的があって、何がしたいのか?がさっぱり伝わってこないんで、見てる側からすりゃ「だから誰やねん」としか言いようがなくて。
登場人物たちが意味なく怖がって、意味なく右往左往してるようにしか見えないんですよね。
あれこれ熱心に小さなジャンプスケアを用意して、ほら怖いでしょ、やばいでしょ、と頑張ってたりはするんですが、なにもかもがひたすら空回りしてる状態でして。
とかく序盤から、すべてが「点」の状態なままなんですよね。
各種恐怖演出がストーリーを軸として連なっていかないんです。
しなびた手が出てきたり、プールに気泡が浮かんだりと、忙しいんですが、お化け屋敷営業してるんじゃないんだから、すべての怪異にはモウハタの意図が透けて見えてこなけりゃおかしいわけで。
ただ気味悪けりゃいい、ってもんじゃない。
そこを制作側は全くわかってない。
極めつけは中盤で出てきた術師っぽい老人の存在。
訳知り顔でおかしな呪文をとなえて、儀式が必要とか言い出すんですが、それがわかってるなら、見てないでもっとはよ出てこんかい!って話であって。
いかがわしさ、うさん臭さが見進めれば見進めるほどに増大していく有様。
多分、監督はシャイニング(1980)や韓国ホラー(哭声とか破墓とか)を意識してるんじゃないか?と思うんですが、体裁を真似ただけで中身が全くついていってないのが現状だと思いますね。
詳しいわけじゃないですが、かつて見た80年代の台湾映画(非情城市とか台北ストーリーとか)にはもっと成熟したみずみずしさがあったような気がするんですが、どうしちゃったんでしょうね?ホラーだけが鬼門なのか?台湾。
どちらにせよ、これだと日本や欧米諸国で評価されることは難しいと思います。
ま、ビターなラストだけは悪くなかったかな。
そこだけかも。
ねじレート 35/100

