メガロザリア

2021年初出 みやまるん
エンターブレイン青騎士コミックス 1巻(以降続巻)

中世ヨーロッパっぽい世界を舞台に、どん底の人生から魔女の力を借りて一発逆転を狙う孤児だった女ロザリアを描いた悪徳のピカレスク。

当たり前に王族が民を支配していて、貧富の差がひどくて、魔女狩りが横行していたりと、世界の作り込みになんの工夫も創意もないのが難点ですが、魔女が一定の条件下で「時間を遡行する能力を持つ」という設定や、それを言葉巧みに利用する主人公、という筋立てはそれなりに面白かった、と思います。

ただね、作者が主人公ロザリアを描いていて、つい興が乗ってしまったのか、それとも確信的作劇なのか、よくわからんのですけど、相当にやりすぎなんんですよね、ロザリア。

人を殺すことで魔女の能力が発動する、というルールを定めてしまったせいもあってか、片っ端から登場人物殺していくんですよ。

中には、なんの恨みも憎しみも抱いてないのに居合わせたから惨殺とか、秘密がバレそうな気がしたからなぶり殺しとか、巷のサイコパスも引くレベルで簡単に人の命を奪っちゃうんですよね。

時間を遡行してしまえば何も証拠が残らないがゆえの禁忌のなさ、と言えるのかもしれませんが、ここまで躊躇がないと、なんだか2CH(5CH)の再現ドラマ動画(webに転がってる実録漫画でもいいけど)見てるような気になってきて。

あまりに性格(性質)が極端すぎるんですよね、こんなやつ絶対いねえわ、と断言できてしまうレベルで。

こういう極端さ(エグさ)が好きな読者が一定数居ることは知ってますが、私の場合、読み進めれば読み進めるほどになんだか冷めてきて。

魔女も魔女で、よくまあこんな真正の殺人鬼みたいな女と共謀してるな、と。

ロザリア、都合が悪くなったら簡単にお前のことを裏切るだろうし、なんなら殺しにかかってくるよ、って。

それがわからんぐらいのバカに描かれてることも不可解で。

1巻終盤でオタクな名探偵風のキャラが登場してきたんで、きっと2巻ではロザリアと探偵キャラの対決になるんでしょうけど、私はもういいかな。

冷血漢なら冷血漢なりに、常人以上のカリスマ性や高い能力を見せつけてくれないことには応援する気にもなれんわけです。

保身と我欲にまみれた姑息なだけの小悪党の幸せ探しとか、ほんとどうでも良くて。

私にはちょっと合わない一作でしたね。

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