1977年初出 小池一夫/田上憲治
双葉社アクションコミックス 全3巻

殺し屋を殺す殺し屋、として闇社会に暗躍する元特別警護警察官を描いたクライムアクション。
うーん、殺し屋殺しなあ・・。
なんか舌噛みそうというか、一周回って結局は同じ場所に立ってるというか。
別に殺し屋のみ、と特定せず「悪辣な犯罪者どもを非合法に始末する闇のハンター」みたいな感じでいいと思うんですよね。
殺し屋ハンターとか言い出すから急に現実味が失せてしまうんであって。
主人公が自分のことを「狐」と名乗り、いつも狐面で現れるのにも関わらず、絶対顔隠しておいたほうがいい場面で必ずお面を外して素顔をさらす変なナルシスト?ぶりもちょっと気になった。
法の外側で生きてるのに、あちこちで素顔さらしまくってどうする、って話で。
これは楽しめないかもなあ、と思ってたら、中盤で突然「狐」が見ず知らずの女と籍を入れ「お前をもう一人の狐にする」とか言い出し、殺し屋の特訓を始める展開に急旋回し脱力。
実に小池一夫らしいと思いつつも、あまりなワイルドピッチに、ああテコ入れなんだろうな、とぼんやり考えたり。
そこからは夫婦殺し屋殺し(ああ言いにくい)のハンター道中膝栗毛ってな按配ですよ。
もちろん二人の間には激しい愛の炎がじゃんじゃか燃え盛ってるわけで。
予兆もきっかけも何もなかったけど、いつの間にそんな関係になったの?と疑問を挟む余地なんざなし。
ああ、これは絶対に女が死ぬな、と思って読み進めたんだけど、予想どうりだったかどうかはご想像におまかせするとして。
で、最終話ですよ。
主人公、狐は過去の怨恨を晴らすべく、謎の殺し屋集団に挑むため単独で渡米を決意するんですね。
おーい、I・餓男 アイウエオボーイ(1973~)やないかーい。
初期設定の冴えなさを挽回しようとがんばったが、状況考えずにいつもの手癖で物語をコントロールしたせいでかえってジリ貧に、といったところでしょうか。
どうでもいいけど田上憲治の作画が、昔の池上遼一にそっくりなのもアイウエオボーイの近似種化を加速してますね。
よほどの小池ファン向き、ですかね。