2022年初出 横山旬
少年画報社ヤングキングコミックス 全3巻

16歳で世界的評価を得たスーパーアイドルが、ある日突然姿をくらませて地方の定食屋に弟子入りしようとするお話。
ま、率直に言ってプロットが昭和だと思いますね、私は。
なんか色々ギャップを狙ったのはわかるんですが、主人公の馬越聖も定食屋の女将のまみちゃんも居そうで居ないキャラ(漫画ならではのディフォルメされたキャラ)だと思いますし、そんな二人にドタバタ現代劇(人情劇?)やられてもね、すごく遠いところでなんかやってるなあ、ってな印象しか抱けないわけです。
これがギャグ漫画やコメディならまだなんとかなったかもしれません。
ぶっ飛んだ性格設定もきっと武器になったでしょう。
真面目にやってるんだもなあ・・・。
全く笑いがないわけじゃないんですけどね、根っこの部分で妙にシリアスだったりするんですよ、この物語。
あと、なんとなくですけど作者は芸能界とかテレビの世界にあんまり興味ない人のような気がする。
それがわかっちゃうから、なおのこと現実味が希薄に、薄らぼんやりとしちゃう一方で。
やたらエキセントリックで激情をぶつけ合ってる割には、どこへも行かないシナリオ進行も難。
結局、第一話で全部語っちゃってるんですよね。
完結までぐるっと一周回ってきただけ。
午後9時15分の演劇論(2020~)を読んだときにも思いましたが、作者は現代劇に向いてない。
変身!(2014~)で私を驚愕させた非凡さはどこへ行ったのか、なんだか追うのが辛くなってきた昨今です。