2012年初出 阿部洋一
太田出版

いやいやチ◯コって・・・。
ブログに広告つかなくなるのが怖くて思わず伏せ字にしてしまった私であるが、タイトルばかりはどうしようもないんで、祈るしかないんだけど、えー、あのねえ、もうわかりやすいぐらいに迷走じゃねえか、と。
従来の阿部洋一ファンは彼にエロとか下ネタとか一切求めてないわけですよ。
これは断言できる。
じゃあこれまで阿部洋一のことをよく知らなかったご新規さんが、この作品を読んで、うひひチ◯コって、喜ぶかといえば、とてもそうは思えない、というのがこの作品の残念なところで。
かなり切り込んだ内容なのは確かです。
男性のチ◯コが切り離し可能であり、切り離しても何度かは再生する、という設定自体がぶっ飛んでるし、女の子たちが好きな男性のチ◯コを愛玩動物よろしくコレクションする、というストーリー展開も、一体何を描こうとしてるのか全く理解不能で、どういう発想でこうなった?と首を傾げるレベルだったりしますし。
最初は、恋愛の対象から「性」と「人格」を切り離すとどうなるのかを、思考実験しようとしてるのかな?と思ったんですけど、特にそういった掘り下げはなくて。
どっちかと言うとチ◯コネタで広げられるだけ風呂敷広げてみました、って感じでね。
古い話で恐縮なんですが、広い意味での方向性としては1970年代の永井豪が得意としたちょっとエッチなお色気漫画に近い気もしますが、サービス内容の主たるものがチ◯コなんでね、大多数の男性は多分振り落とされてしまう、と思うんですよ。
結局、切り込んでいるように見えて、完全に欠落してるものがひとつあって。
女の子の「性」が描かれてないんですよね、この作品。
だからエロ漫画みたいなシナリオ進行でも全くエロくならないし、なんなら「しらんがな」とさえ思えてくる。
しかし、この内容で全くエロくならない、というのも逆に考えたらすごいことなのかもしれないですけどね。
ともあれ、総合的に失敗作だと思いますね。
こういう漫画が好きな人達、ってのは一定数存在すると思いますが、多分それって従来の阿部洋一ファンよりニッチで数は少ないでしょうし。
一部で高く評価されるも泣かず飛ばずな作者の起爆剤となる一作とは言えないと思います、凄く挑戦的でしたけどね。
あー、なんか無駄に才能を消費してるような気がして、ファンとしては辛い感じですね。
なにかひとつきっかけがあれば状況も変わる気がするんだがなあ。