2024 フランス
監督 ザビエ・ジャン
脚本 ザビエ・ジャン、ヤニック・ダアン、モード・ハイバン、ヤエル・ラングマン、オリビア・トレス

あまりに立ち上がりが遅い・・・とイライラする気持ちは終盤の〇〇で雲散霧消
淡水に生息できるはずがない巨大ザメが何故かセーヌ川を回遊していたら・・・を描いたサメパニックホラー。
見る前から相当ハードル上がってたことは間違いないです。
なんせ「ジョーズ以来の最も斬新で怖いサメ映画」みたいな喧伝してましたからね、NETFLIXが。
いやはや大きくでたな、と。
「ジョーズ以来」って、もはやジャンル映画化してるサメ映画が、いったいこれまで何本作られてきたかわかった上で発言してんのか?って。
大作から低予算なものまで、恐ろしい数のサメ映画があるぞ?なんならサメ映画専門の評論家みたいな連中までいるぐらいだぞ?本当に大丈夫なのか?と。
まさかとは思うがシャークネード(2013)みたいな感じで笑いに逃げる算段じゃなかろうな、と。
言っとくけどMEGザ・モンスター(2018)みたいに資金だけ潤沢な感じもアウトだからな!って。
そしたら、だ。
冒頭からいきなり環境問題。
プラスチックで汚染された海で命を落としていく海洋生物を描写。
あー、そうきたか、と。
いやわかりますよ、ちょっと違う切り口から攻めていきたいのはね、でもね、サメ映画に思想とかいらんのだよ、そういうのがやりたいんだったらサメ持ち出してきちゃダメ。
さらには、サメ由来の悲惨な事故が主人公のトラウマになる展開がその後に待ち受けてたりもして。
すまん、ほんと申し訳ないけど全部が面倒くさい。
舐めきってたオッサンが殺人機械だった系の映画じゃないんだからさ、つらい過去とか細やかな心理ドラマとかもうほんとにどうでもいい。
そういうのが見たかったらそもそもこの手の映画をチョイスしてない。
正直、なんて立ち上がりが遅いんだろう、と思った。
開始1時間が経過するも、サメ大暴れなシーン、全くなし。
俺を眠らせたいのか、と。
それでも私が投げ出さずに見てたのは、この映画がザビエ・ジャン監督だったから。
監督のコールド・スキン(2017)って作品が私は強く印象に残ってて。
これがね、一筋縄ではいかないモンスターパニックだったから。
本作も、ひょっとすると後半で、ありえぬ方向へお話が進んでいくのだろうか?と。
えー、違った。
はい、残り40分でサメ大活躍でございました。
もう、いきなりだったから。
声が漏れちゃったよ、うぉっ、って。
ためにためて閉所で皆殺しってか。
いやー、溜飲が下がったとはまさにこのこと(人が食われてるのに溜飲下がってちゃいかんわけだけれども)。
そこからは怒涛の展開。
セーヌ川で人間踊り食いだわ、不発弾大爆発だわで、なんだなんだヨハネの黙示録なのかよってレベルでカタストロフ。
いや、やってくれましたね。
ここまでド派手にサメ大暴れさせてくれたら、文句なし。
しかも、ラストシーン、なんとかなって良かったね、ってなほっとする顛末に事態は至ってなくて。
続編への含みなのかもしれませんが、これだけやってもダメなわけ?みたいな徒労感が色濃く演出されていて、あたしゃ気に入った。
大きな裏切りはなく、どっちかと言うと正当なモンスターパニックの轍を踏んでいるかと思いますが、終盤の一気呵成な爆発力がとにかく爽快でしたね。
ま、ジョーズ以来、ってのはさすがに褒めすぎだけど、あまたのサメ映画の中じゃあ、秀作の部類に入るんじゃないでしょうか。
続編作られたら見ようかな。
ねじレート 81/100