刑事ジョン・ルーサー フォールン・サン

イギリス 2023
監督 ジェイミー・ペイン
脚本 ニール・クロス

さて私は刑事ジョン・ルーサーと言われても誰?と返すほどに全くこの作品のことについて知らないのだけれど、調べてみたら、2010年から英BBCで放映された連続テレビドラマで、すでに5シーズンが発表されているんだとか。

本作はドラマシリーズの初映画化作品。

多分ね、テレビドラマの方を先に見たほうがいいのだろうな、と思う。

そりゃわかってる。

わかってるが、5シーズンも消化しようと思うと季節が移り変わってしまう、ってな話だ。

すまんが無理。

でまあ、なんの予備知識もなしにいきなり映画だけを見たわけなんだけど、おそらくね、ドラマ見てなくても内容的にはついていけると思います、私の感触では。

なんかよくわからんが、有能で仕事できるんだけど横紙破りな刑事がいるわけよ。

イドリス・エルバ演じるジョン・ルーサーのことなんだけど。

口さがない言い方をするなら、ま、ダーティハリーみたいなもん、と思っときゃ大きくは間違えない。

もちろん44マグナムぶっ放したりはしないけどね。

でまあ、そんなジョン・ルーサーが孤立無援で凶悪事件に挑む、というのが本作の骨子。

言っちゃあ申し訳ないが、はみ出し刑事がひとり難事件に挑む映画とか、ほんともう古今東西に山のようにあって、頂上あたりは霞がかかってて見えない状態だったりするから、まずはなぜ今更?と思うわけですよ。

このジャンルで新しいことをやるのはもはや不可能に近い気がするんですね。

なので全く新鮮味はないし、劇中でなにか急展開があっても、軽い既視感を覚えるパターンが大半だったりする。

そこで私は、はたと膝を打つ。

ああ、この作品は、テレビドラマを見てジョン・ルーサーのファンになった人のための映画なんだな、と。

そもそもが世界規模で広い市場にゼロから勝負しようとしてない。

企画段階からそうだったのか、結果としてそうなったのかはわからないけど。

日本映画でよくあるケースだったりもしますね、こういうのって。

でね、こんなとき、一見さんはどうしたらいいんだ、ってことなんですけど、なにかよすがを見つけるしかないわけですよ。

脚本家が好きだからシナリオ進行のみに注視するとか、出演してる役者を追うことに集中するとか。

私の場合、とりあえずイドリス・エルバに注目した。

実は個人的に黒人俳優の中ではイドリス・エルバが一番かっこいい、と私は思ってて。

最近見ないなあ、と思ったら、こんなところに!ってな感じで、本作を見初めたわけなんだけど、はからずも彼のスター映画と思い込む形で接するしかなくなってしまう、というね。

ま、面白かったです。

トム・クルーズ目当てでミッション・インポッシブルの新作見た人が決して「つまらない」とは言わないのと同レベルで。

やっぱりいい役者だなあ、イドリス・エルバって、と。

ただまあそれも、言うまでもありませんが、映画作品そのものの評価とは大きくかけ離れてるわけでね。

さて、真面目に評するべきなのか、どうなのか。

とりあえずね、ちゃんと作ってあるとは思いましたけど、ストーリー進行がいささか強引すぎるかな、と。

ジョン・ルーサーを追い込みたかったんでしょうけどね、捜査中に過去の事件での振る舞いが問題になって収監される、とか無茶しすぎ。

普通は謹慎ですよ、いきなり司法手続きすっ飛ばして収監とか、どこの独裁国家なんだよ、って。

しかもその後、捜査のためにジョンは脱獄までしちゃいますからね。

70年代かよ、って。

マッドマックスか、お前は、と。

唯一、これは強烈だな、と思ったのはアンディ・サーキス演じる犯人のキャラクター像。

とんでもないサイコパス野郎なんですけど、嫌らしいまでに頭がまわるんですよね、この男。

彼のキャラはあまたの犯罪映画の中でも出色の存在感だった気がしますね。

あとはまあ、おやつでも食べながらのんびり鑑賞、でいいんじゃないかな。

決して悪い映画ではないんですが、ハードル上げすぎるのは危険、そんなところでしょうか。

うーん、007、イドリス・エルバにやってほしかったなあ。

ねじレート 71/100

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