スペイン 2021
監督 マル・タルガローナ
脚本 キュカ・カナルス

すごいシチュエーションで物語はスタートするが、どこへも着地しなかった印象
・・・ふと目覚めたら、見知らぬ男が隣で眠っており、しかも何故か男と腹部が外科的に縫合されていた、という驚愕のオープニングで幕を開けるサスペンス。
NETFLIXオリジナル。
しかしまあ、それにしてもとんでもない設定を思いついたもんだな、と。
こんなのどうやって収拾つけるつもりなんだ?と見てる側が心配になるようなミステリが古今東西には数あるわけですが、腹部で男女が縫い合わさってるとか、耳目を集めるにしたってさすがに度が過ぎてるんじゃねえのか、と。
ムカデ人間(2009)じゃあるまいし。
もっともらしい謎解きができるとは到底思えないわけですよ、正直なところ。
いったいどんな動機で縫おうと思うんだ?って話で。
とてもじゃないけどまともなロジックが成り立つとは思えない。
これを見事オチつけられたら相当な凄腕だと思うんですが、さて?
ま、縫い合わされた男女が、なんとか外部に助けを求めようと、体勢を整え、二人三脚さながらにあれこれ苦心惨憺する展開は面白かったです。
トイレ行くにしたって二人で協力しなきゃどうにもならないわけだから。
女が部屋にあった写真の女性のイヤリングを着けていたり、不審な電話が何度もかかってきたりと、謎が謎を呼ぶ展開も悪くはなかった。
あ、これ絶対チューするわ、と思ったら案の定チューしてて、ほんとお約束だな、と失笑してしまったのも、まあ、良しとする(いろんな意味で期待を裏切らなかった、ってことで)。
問題はやはりエンディングでしょうね。
腹部結合の狂態をプロデュースすることに一体どんな理由が隠されていたのか?と、結構前のめりだったんですけど、ラスト10分の展開に殺意を抱くレベルで脱力。
いやもう、なんじゃそれ、の一言でしたね。
伏線を伏線として回収できてないばかりか、夢オチにも近い老害の妄想が種明かしとばかりに独白で、見ててNETFLIX解約してやろうかと思いましたね、いやマジで。
マル・タルガローナ監督は前作ボーイ・ミッシング(2016)が悪くなかったんで、それなりに評価してたんですけど、やはりあれはオリオル・パウロの力だったのか・・・がっくり。
とりあえずデ・パルマの悪魔のシスター(1972)でも見て勉強しろ、と言いたいですね。
悪魔のシスターでやってることの「下調べ」を今更やってるようなもんですよ、この映画。
結局最後まで素っ裸で頑張った主演女優さん(男優もだけど)がただただ気の毒でしたね。
変に期待させた分、余計にたちが悪いと言えるかも。
ま、最初から若干嫌な予感はしてましたが、ちゃんとたためないなら風呂敷広げるな、ってとこですかね。
私の中でマル・タルガローナは前科つきましたね、これ。
あーやっぱり駄目だったかー。
ねじレート 52/100(頑張った女優さんに敬意を評して10点プラス)