2009 日本
監督 西冬彦
脚本 西冬彦、木村好克

武田梨奈の頑張りとは裏腹に、作品の不出来さが際立つ
つい最近まで、映画ファンのみならずテレビの前にいる人達まで巻き込んで話題を独占していたベイビーわるきゅーれ(2021)ですが、ある日、ふと思ったんですよ。
日本のアクション女優の系譜って、伊澤彩織が登場するまで断絶してたんじゃねえか?って。
70年代から80年代にかけて大活躍した志穂美悦子という唯一無二なアクション女優が過去には存在していたわけですが、それからはや30年、どう記憶をまさぐってみても誰も思い浮かばないんだけど、マジか、これ、と。
洋画じゃ強い女が大流行(だった?)なのに、日本においてはまるでニーズがなかった、ってこと?
にわかには信じられんなあ、と思ってあれこれ調べてたんですよ。
そしたら唯一人ひっかかったのが武田梨奈。
ああ!あのコマーシャルで瓦を叩き割ってた人ね!と遠い記憶が蘇る。
私は邦画やテレビドラマにあんまり詳しくないんで、武田梨奈が頭突きで瓦割って以降、どういう活躍をしておられたのかさっぱり知らないんですが、出演作品を遡ってみて「お、これアクションだよね?」と思ったのが本作で。
ちゃんと格闘もの主演してたんだ、と。
ま、およそ30年間でこの作品しか国内でヒロインアクションものが引っかからなかった、ってのもすごい話なんですけどね。
いやね、いかにもな低予算映画(自主制作?)も数にいれるなら結構な本数があったりするんですけど、出ている女優や監督に全く知名度がなく、口コミを探すことすら困難な作品を数に入れても仕方がないんで。
でまあ、どんな感じなんだろう、と。
なんせ武田梨奈、黒帯ですからね、本物だ。
そしたらですよ。
いやもう、心の底からびっくりしましたね。
ド素人が作った映画じゃねえかよ、って。
多分、この監督はアクション映画って、どうやって作ってるのか全く知らないばかりか、学んでもいないと思う。
なんのつもりか全くわからんのだけど、意味のないスローモーションの多用が恐ろしく場面を間延びさせていて。
まさか演出のつもりじゃあるまいな、いやマジで。
またシナリオが凄まじく頭の悪い仕上がりで。
壊し屋ってなんなんだよ、って。
まだショッカーの方がよっぽど信憑性あるわ。
しかも中盤ぐらいから主役が武田梨奈ではなく、空手の師匠にすげ変わる始末。
うん、誰も求めてません、華のないオッサンの大活躍とか(有名な空手家らしいけど)。
断言します、私がここ10年ぐらい見た映画の中でダントツでワーストでしたね。
もう何が駄目なのか、逐一指摘するのも苦痛なぐらい出来が悪い。
よくぞこの有り様で正規の流通にのったな、って。
なんかね、色々思い出しちゃいましたね。
こういう企画の手慰みみたいなクソ映画にちょくちょくぶつかるから私は邦画見なくなったんだ、って(最近はそうでもないんだろうけど)。
ただただ武田梨奈と、その他アクション俳優陣が気の毒でしたね。
これはマジであたってるんじゃ、と思えるシーンとかもあったんでね、痛い思いも、できる人が撮ってれば勲章になっただろうになあ、と思ったり。
体張る価値とかまったくないですしね、このザマじゃあ。
しかしあれだな、あまりにひどすぎると感想かいてて笑いに逃げることもできんな、腹たってきて。
ちなみに武田梨奈、ミニスカですけど派手にパンツ見せてたりはしてません。
それ目当ての人すら轟沈、というのがこの映画のすごいところで。
だいたいこの手の低予算アクションって、エロスとバイオレンスの2枚看板なんですけどね、エロス抜きで空手一本勝負を選択した制作陣の慧眼からして、恐ろしく曇りまくってたってことですわな。
かつて凄まじい体術を披露した志穂美悦子ですらミニスカでパンツ見せまくってたというのに、これも時代か、それとも事務所NGか。
ま、どうでもいいか。
いかにベイビーわるきゅーれが突然変異だったか思い知った次第です。
武田梨奈には仕切り直してほしいですね。
仕事を選びさえすれば、この人は伊澤彩織以上のアイコンとして名を残せると思うんで。
最近またアクション映画への出演が続いてるみたいなんで動向を見守りたいですね。
ねじレート 12/100