あらいぐマンといっしょ

2017年初出 横山旬
エンターブレインビームコミックス 上

えっ、もう8年も経っちゃったの!と、時の流れの容赦の無さに驚かんばかりである。

変身!(2014~)を初めて読んだ時、すごい才能の漫画家が出てきた!と興奮したものですが、まさかまさかですよ、2作目にして早々にコケるなんて、一体誰が予想したというのか、って。

ちなみに本作の事ですけどね、2作目って。

間違いなくね、コミックビームも推してたと思うんですよ、横山旬を。

じゃないと変身!連載前の短編集(白い狸)とか、絶対発売しないから。

久慈光久や森薫クラスでやっと出せるぐらいなんだから(と、思いたい)。

それがだよ、上巻発売から幾星霜、未だ下巻が発売されない、という・・・。

私も長い間漫画読んでるけど、こんなの、ほんとレアケースだと思います。

漫画雑誌自体の社会的位置付けが低かった60年代ぐらいまでの話だったらわからなくもないんですが、2017年にもなって、下巻が発売されない、って、これ、よっぽどですよ。

普通、せめて電子書籍化するだろうって。

羽生生純のジュウマンみたいに。

考えられるのは、予想を遥かに下回って恐ろしく上巻が売れなかったか、コンプライアンスに抵触するなにかがあったか、作者の意思であえて出版を差し止めてるか、のどれかだと思うんですけど、公式発表がないので結局何もわからずじまい。

このあと作者は、午後9時15分の演劇論(全3巻)をエンターブレインから発売してるので、コミックビーム編集部と揉めた、ってことはないと思うんですが、うーん。

いやね、私はファンだから贔屓目で見てる部分もあると思うんですけど、けっしてつまらないわけじゃないんですよ、あらいぐマン。

あらいぐまのぬいぐるみに植物状態の主人公の人格が何故か乗り移って大騒ぎ、ってなプロットは確かに昭和臭が濃いですが、その後、あらいぐマンと偶然知り合ったフリーターが、かつての恋人を探して一緒に旅に出る展開とか、どこかロードムービー風でね、その顛末を期待させるには充分なシナリオ運びでキャラだったと思うんですよね。

登場人物が相変わらず変なやつだらけでアッパー系なのも楽しい。

まともなのは主人公だけという。

だけど、主人公はぬいぐるみ。

・・・・いやいやいや面白いじゃねえかよ、なにが駄目なんだよ、この漫画。

ともあれ、上巻を買った人に対する責任を果たす意味でもね、電子書籍でいいから続きは発売すべき。

それが漫画で金もらってる人間の最低限のモラルでしょ。

死ぬまで諦めんからな、俺は。

いよいよもうくたばりそう、ってなったら凸るからな(どこへ?)

待ってるよ、今でも。

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