2023 イギリス
監督 ジェイソン・アーバー
脚本 ハリー・ボックスリー

「羊なんだし、焼いて食っちまえばいいんじゃね?」ぐらいの発想の転換が欲しかった
あまりに有名なあの童謡「メリーさんのひつじ」をモチーフにしたホラー映画。
はい、そこのあなた、言いたいことはわかります。
メリーさんのひつじ♪の、どこをどういじくり回したらホラー映画になるというのか、って?
うん「なりません」ね。
えー直截にいうなら「メリー」と「ひつじ」を拝借しただけで、童謡とはまるで無関係、と考えるのが実は正しい。
むしろちょっとぐらい関わっていてくれよ!とお願いしたくなるぐらい、かすりもしてない。
なんかあるのかな、と期待した自分を鈍器でうしろから殴ってやりたくなるレベルで、ほとんど名義貸し状態。
だってね、やってることはほぼ悪魔のいけにえ(1974)なんですもん。
21世紀迎えて25年も経ってるというのに、まだ悪魔のいけにえをなぞってやがるのである、制作陣は。
予算がないのはわかる、大々的にプロモーション打てないのもわかる、だからといってだよ、アイディアまで貧困極まりなくテンプレートなのは無能すぎるし、更には、プーあくまのくまさん(2023)みたいなイレギュラーは2回も続かない、ってなぜわからんかな。
しかもなあ、スラッシャーである羊男の生い立ちや、異形であることを匂わせるキャラがまるでLAMB/ラム(2021)から拝借してきたみたいだったりするしなあ。
パッケージは悪魔のいけにえで、アイコンがLAMBって、借り物競争でもしてんのか、って。
そういや導入部(ラジオ番組制作スタッフがメリーさんちへやってくる)の展開はXエックス(2022)みたいでもあるな。
この映画にミア・ゴスはいないけど。
ミア・ゴスがいたら、化けてたのかな?
・・・・・いや、そんなことはないな、うん。
個人的に最悪だったのは、羊男の正体を最後まで明かさないシナリオ。
まさか被り物にしかみえない羊頭マスクが地肌、ってことはないと思うんだけど、もしそうだとしたら確実に評価はまたワンランク下がる。
唯一、見ごたえがあったのはメリーさんとヒロインが口角泡飛ばして罵り合うシーンぐらいですかね。
最近は低予算でもワンアイディアが優れたホラーがちょくちょく発表されてましたから、ちょっと油断してたよ。
擁護できそうなところが、相当がんばらないと見当たらないど真ん中B級ホラー。
テリファー(2022)とか大好きな人がついでにね、溢れんばかりのホラー愛でこの作品も包んでやってください、といったところですかね。
♪めーり、さんのひっつっじっ、かわいくね~♪
ねじレート 31/100