2023 アメリカ
監督、脚本 スコット・ベック、ブライアン・ウッズ

SFがわかってない人がSFやるとこうなる、の典型
なんて想像力に欠けたSFなんだろう、と呆れ返った一作。
ティザービジュアルに「6500万年前の地球」との文言が踊ってるから、ああこれは偶発的なタイムスリップかなんかで時間を遡っちゃった男の話だな、恐竜時代に現代人が!とか、全く目新しくないプロットだけど、まあいいか、見てみるか、と勝手に早合点してたんですけど、いざ、見始めてみたら本当に6500万年前の地球が舞台で、結構びっくりした。
えっ、じゃあ、主演のアダム・ドライバーはなんなの?人類まだ誕生してないよね?どう見ても人間だけど、姿形が類人猿っぽいだけで中身は遊星からの物体X(1982)だったり、スピーシーズ(1995)みたいな怪物だったりするのか?と注視してたら惑星ソマリスという地球ではない天体に生まれた宇宙人であることが判明。
ただしこの惑星ソマリス、詳しくは語られないのだけど、どうやら現代アメリカと似たような文化、風俗を持つ星で、そこで育った生命体も限りなくアメリカ人に近い性質、特徴を持っているみたいで。
体力や食性、モラルや倫理観も、ほぼ現代人と同じで、一夫一妻制で家族を作るところまで同じ・・・って、おーい。
おーい、起きてますかあ。
6500万年前にアメリカ人はすでに他天体にて繁栄を極めていて、宇宙船に乗って昔の地球に来たりしてたんだよ、すごいね、えっ、今、惑星ソマリスはどうなっているか?って?さあ、しらない、・・・ということですわな、つまりは。
えーと、ごめん、脚本書いてるときにコロナに感染して高熱出てた?
もしくは連日の違法ドラッグパーティーでずっとトリップしてたとか?
んでまたこの脚本をすんなり通した制作陣は、深酒がたたって幻覚でも見てたのかな?「これならアカデミーも狙える!」とガッツポーズだったとか。
しいてはこんな映画に主演キメてるアダム・ドライバーは一体なにがあったんだ、なにか弱みでも握られてるのか、それとも危ない賭博の借金でもあったのか?あんた、もっとできる子だったでしょ?
いやいやもうね、これまでいろんなB級C級、トンデモ、キテレツ映画を見てきましたけど、ここまで物語にとってひたすら都合の良い我田引水なSF映画は始めて見ましたね。
もし本当にこれでいい、と思ってるのだとしたら、創作する上で致命的に発想が貧困、及び物語の禁忌がわかってない、としか言いようがない。
わかりやすく言っちゃうと、悲しいほどに頭が悪い。
さらにこの映画が脱力だったのは、ま、惑星ソマリスとか、そういうのは一旦置いておいてさ、娘を亡くした男と、親をなくした少女の地球脱出行を楽しんで頂戴よ、いろんなトラブルに見舞われるも、二人の絆が高まっていく展開が胸アツだよ、恐竜もバンバンでてきまっせ~、って、やってること。
あのさ、6500万年前とか、もうどうでも良くなってるじゃないかよ、って。
恐竜の襲撃を交わしながら、少女とオッサンが必死に生き延びていく姿を撮りたかっただけやん、って。
また、命からがらの道行きを、それなりのスリルで仕上げてるのがイラッとするというか。
やりたいことだけやって、整合性とかもっともらしさとか放置、という呆然の一作でしたね。
あと、どうでもいいけど、少女とオッサンの言葉が別言語で会話できない設定とか、ほんといらないし。
そのまえに整えなきゃならんことが山のようにあるだろうが、と思いましたね。
ま、金はかかってます。
その一点を頼りに見進めるしかないが、見進めたところでどうよ?という作品ではありましたね、はい、合掌。
ねじレート 51/100