2021年初出 モクモクれん
角川書店コミックエース 1~2巻(以降続巻)

死んだはずの同級生、光に瓜二つの「何か」と、奇妙な高校生活を送る主人公を描いたキャンパス?ホラー。
えー、もう結論から書きますが、この漫画は頭一つ抜けてます。
モクモクれんなどというふざけたペンネームの漫画家が、まさかこれほどの傑物だとは思わなかったですね。
文句なしの一級品。
なんか騙されたような気分だ。
しかもヤングエースだよ。
ほぼチェックしてねえわ(何を威張ってんだ)。
僕だけがいない街(2012~)しかしらんわ。
だって、ほとんどの連載作品に興味が持てないんだもの、悪いけど。
なんだろ、突然のイレギュラーが発生しやすい誌風なのかなあ。
どんな誌風だ、それ。
いや、もうね、20ページほど読んで確信しましたね。
あ、こりゃ凡百とはレベルが違う、って。
プロットそのものは、ぼぎわんが来る(2015・小説)や散歩する侵略者(2017・映画)あたりにヒントを得たのかなあ、って感じですが、本人そのものだけど本人じゃない親友と、違うものであることがわかっていながらこれまでのように付き合い続ける主人公の作劇がね、実に手慣れてて。
主人公よしきの苦悩や揺れる心情を、見てきたのか!ってぐらい細やかに演出するんですよね。
親友の中にいるやつって、どうやら長年山にいた禁忌っぽいんです。
妖怪なんだか神様なんだかわからんけど、人と同じ生活圏に居てはいけないやつ。
敏感な人は忠告するんですね「アレと一緒にいては駄目」と。
けれどよしきは2度も親友である光を失うことに耐えられない。
光は光で生前の感情に引っ張られて、よくわからないながらもよしきに好かれようと懸命に努力する。
そうこうしてるうちに、光の中にいるものに引っ張られて村で怪異が多発しだす。
・・・・・はい、ビターで救われないエンディングが待ち受けてるとしか思えません。
あー、嫌だ。
ほんと嫌なんだけど、人外の異形と普通の高校生が、この異常な関係性にどう終止符をうつのか、気なって仕方ありません。
同じテーマの作品であっても、違う作者だったらここまで引き込まれてなかったと思うんですけどね、モクモクれんはなんか凄いことをやらかしそうな予兆がする、というか。
画力が高いことや、意外に恐怖演出が達者なのも良。
短い巻数でスパッと切れ味鮮やかに終わらせてほしかったりもしますね。
こういうのはあんまり長くやると駄目だと思うんで。
最後まできっちり追いたいと思います。
まだ2巻なんで断言はできませんが、傑作の予感(結果そうでもなかったらすまん)。