1983年初版発行 小堀洋/叶精作
スタジオシップ劇画キングシリーズ 全4巻
叶精作の作画だから余計にそう思うのかもしれませんが、いかにも小池一夫が書きそうな原作で、小堀洋、弟子とはいえこりゃ影響受けすぎだろ、と思いましたね。
ヒットラーのクローンというネタといい、記憶喪失の凄腕殺し屋(主人公)が組織と戦っていく展開といい、既視感の強さときたら半端じゃない。
小池一夫の助言とか、あったのかもしれないですけどね。
助言しておきながら、あとあと自分の作品で同じ設定を流用した(小池先生ならやりそう)ってのが真相なのかもしれませんけど。
小池原作のBROTHERS(1988~)とか、この作品をたたき台に発展させたような内容だもんなあ。
ま、マッチョイズム香るダークヒーローが、惚れた女を道連れに目的を達成していくという鉄板パターンは、小池一夫往年のヒットの方程式ですんで、内容が御大に似てようが似てなかろうが普通に面白いのは確かなんですけどね。
欲を言うならクローンとして生まれた主人公のアイデンティティのゆらぎみたいな部分にまで踏み込んで物語を展開してくれていたら、もっと面白かったかと思うんですが、どうも人気があんまり芳しくなかったみたいで。
4巻最終話、打ち切りだったのかな?と邪推してしまうレベルで突然お話が終わってます。
ただ、その突然さがね、邪推をはねのける勢いで救われない現実を突きつけているかのようにも見え、ある種独特の余韻を残していたりはするんですけどね。
これが最初からの計画なんだとしたら、ちょっとすごいかも。
うーん、どちらとも判別つかないのが悩ましいところ。
私は小堀洋の作品ってザ・コップ特殺官しか読んだことがないんですけど、それなりにまとまってる、と言う意味ではこちらを代表作に挙げていいかもしれません。
あまりに小池作品に酷似している点に関しては、まあ、石川賢も最初はずっと永井豪だったことですし、目くじら立てずに見守ればいいんじゃないかと。
見守る、っつてももう40年前の漫画だから、とうに結果でてるだろ、って話だったりするんですけどね。
また機会があれば他の小堀作品を読んで検証してみたい、と思います。
余談だけど、叶精作画伯の表紙絵が色っぽすぎて、使えないものだらけでほんと困る。
バストトップが描いてあると警告うけるんだよ、GOOGLEから。
春画と同じでもはやアートのレベルだと思うんだけど、巡回AIにはわからんのだろうな。