1975年初出 松本零士
朝日ソノラマサンコミックス
人間に限りなく近い性能と自我を持つアンドロイドが、主権をかけて人間に闘いを挑む様を描いたSF大作。
人類に下僕扱いされてきた主人公ダイバー0の復讐を描いた作品でもあります。
テーマは非常に興味深いです。
鉄腕アトムに内在しつつもあえて手塚先生がつっこまなかった「自我を持つロボットのジレンマ」にある種の答えを出そうとする気配すらあり。
母であるアンドロイドを人間に廃棄されたダイバー0の怨念と、それをいさめて共存の道を模索しようとするハーロックの葛藤が読者を物語にぐいぐい惹きつけます。
そうです、ハーロックが非常に重要な役割で本作には登場するんです。
残念ながら人気がなかったのか、未完なんですが、これが最後まで描かれていたら999にも追随する秀作になったのでは、と個人的には思います。
特に最終回は印象的です。
結局「宇宙海賊キャプテンハーロック」の一断片的なストーリーに組み込まれてしまうのでは、という気配もあるんですが、それでもなお、ダイバー0という強烈なキャラを一体どう料理するつもりだったのか、その先を見てみたかったですね。
若干矛盾もあるんですが、ファンなら見過ごせない一作だと思います。
隠れた名編。