2021 日本
監督、脚本 阪元裕吾
アクションがキッレキレなのにダメ人間な女子のギャップにやられる
女子高生二人組の殺し屋を描いたアクション・コメディ。
女子高生二人組って・・・・と、観る前から完全に脱力していた私。
いやいや漫画やん、って。
いやいやいやいやいや100歩譲って漫画やん、いやさ漫画やん、って。
何回言うんだ、ってくらい、言ってしまうわけだよ、漫画やんって。
なんか高橋慶太郎が描きそう、というか少年ジャンプも好きそう、というか。
ま、現実にはありえないですよね。
逆にね、これを現実味たっぷりに描けたら未曾有の天才と称することもやぶさかではないが、そんなはずないし。
未曾有の天才なら、カメラを止めるな(2018)以上に話題になってなきゃおかしいし。
というかリアルに女子高生の殺し屋映画とか作っちゃったら、多分凄惨で痛々しすぎてエンタメにならないと思うんですよね。
まあ、今日は特に観たいものもないし、NETFLIXがやたらおすすめするから箸休めのつもりでみるかー、と。
それぐらい舐めきってた。
そしたらですよ。
えっ、面白い・・・・って。
え、なんでなんで?なんか面白い。
なぜ面白いと思うのか、自分でその理由がわからない。
ひとつ気づいたのは全てに現実味がない、ってこと。
コミュ障と、社交的だがなにかと破綻してる女子の二人組が、同居してバイト探しに明け暮れる、ってありそうだけどないと思うし、この映画に出てくるようなヤクザは令和に居ないし、二人で唯一出来ることが殺し屋だけ、ってのももっとない。
つまりこの物語って、こういう二人組が自立した生活を送るのに苦労しながら殺し家業だけが一人前以上だったら面白いよね、ってアイディアのみで成り立ってる気がするんですよね。
ギャップを楽しむためならいくらでも虚構を塗り重ねまっせ!みたいな。
なるほど、あえてもっともらしさと距離をおいてあるあるネタでコント的に成立させることを目論んだか、と。
考えてみればこういう映像作品って、過去にもあったような気がするんですよね。
ちょっと違うかもしれないけどケイゾク(1999)に代表される堤幸彦一連のドラマとか、時効警察(2006~)とか。
古いところでいうと俺たちは天使だ!(1979)とか。
で、この作品が既出のテレビドラマと違うのは、やたらアクションだけが国内有数トップレベルで本格的だということ。
正直、びっくりした。
画期的という意味では、予算が桁違いであろうるろうに剣心(2012)の高速チャンバラにも見劣りしない迫力があって。
日本映画における近接格闘のシーンもついにここまで来たか、と舌を巻きましたね。
アクション俳優のトップランナー、坂口拓ですらこれほどのものは形にしてないと思う(1%er ワンパーセンター公開延期なんでわからんけども)。
アクション監督である園村健介って人を私は知らなかったんだけど(私だけ?)、これだけのものを設計できる人が今まで何をやっていたのか?という。
谷垣健治並に名前が知れ渡っていても不思議じゃない。
伊澤彩織というとんでもないアクション女優のおかげもあったのかもしれませんけどね。
結果、終わってみれば、確かに想像していたとおり漫画なんだけど、ゆるさとギャップに特化した女性が主人公のアクション映画として類を見ない一作であったように思います。
志穂美悦子の女必殺拳シリーズですらたどり着けなかった境地に、この映画は手をかけるかもな。
この手のバイオレンスで色っぽさゼロってのもすごい。
男に媚び売ってないんすよ、かっこいいぜ畜生。
実はとても野心的な作品なのでは・・・という気がしてきた。
そりゃヒットもするわ。
やばい、こりゃテレビドラマ、ベイビーわるきゅーれエブリディも見なきゃ!と思ったんだけど、関西放映してねえじゃねえかよ、はあ?。
ねじレート 80/100