2023 アメリカ
監督 ジェームズ・ワン
脚本 デビッド・レスリー・ジョンソン=マクゴールドリック
スーパーヒーロー映画の続編としては完璧。海洋冒険譚としても見どころ満載
2018年に発表されたアクアマンの続編。
位置づけとしてはDCエクステンデッド・ユニバースの最終作。
次からDCコミック原作の映画シリーズはDCユニバースと呼称を改められるらしいんですが、まあ、ぶっちゃけどっちでもいいかな、と。
なんせブームを牽引していたマーベルですら近年は惨敗続きですからね。
スーパーヒーロー映画疲れがささやかれる昨今、最後までマーベルに太刀打ちできなかったDCが現状を劇的にひっくり返すとも思えなくて。
ちなみに本作、初登場で全米1位、2024年1月の段階で全世界興収4億ドル突破のヒットを記録してますが、前作が全世界で11億ドル突破したことを振り返るならやはり低調と言わざるを得ないでしょうね。
いや、よく出来てるし、面白いんですよ、この映画。
前作と比べて見劣りする部分なんて全く無いですし。
それでも大きなヒットに繋がらない。
シリーズ最終作であることも影響してるのかもしれませんが、ここまで仕上がってても駄目となると、そもそも市場にニーズがない、と考えざるを得ない気がします。
最後の砦、スパイダーマンの新作がどう転ぶかによるんじゃないか、と思いますね。
スパイダーマンが駄目なら、もうDCが首脳陣入れ替えようが制作陣刷新しようが無理でしょうね。
数年おとなしくしておいて、皆が忘れた頃にまたやるしかない。
だってね、非が見当たらないんですよ、この映画、スーパーヒーローものとして見るならね。
貴種流離譚であった前作を経て、今回は、王座を追われた弟との兄弟の絆をテーマにしているのが無理のない展開に見えてまずは良し、と思いましたし。
置いていったものを取りこぼさずちゃんと拾っていくんですね。
続編ってね、よりパワーアップしてなきゃなんないはずなのに、焼き直しであったり、内側へストーリーが向いてたりで、トーンダウンしがちですから。
そこをね、兄弟タッグに目線を向けることで上手に観客へ既視感を抱かせないようにしてる。
無重力感の強い海中の戦闘シーンの表現も素晴らしかったですし、水中ならではの海洋生物型マシンの造形も別世界感が高くて楽しい。
私ぐらいの世代だとどうしても海のトリトンを思い出してしまうんですけど、これってまさに海のトリトンの豪華実写版だな、と思ったり。
タコの使い魔だったりとか、海の生きものに適度に愛嬌があったりするのが余計にそう感じさせるのかもしれません。
変に懐かしさと新しさが同居しているように思えてね、気分がアガってくる。
ま、物語の落とし所がね、ワカンダ・フォーエバーっつーか、ブラックパンサー(2018)みたいではあったんですが、ま、この際目をつぶろう。
インディ・ジョーンズに海底魔境編があったらこんな感じになるんじゃないか、という気もしましたね。
うん、結局DCはアクアマンがすべてだったな。
アクアマンクラスが量産できていたらマーベルとのバランスに変化が訪れていたかもしれませんが、時すでに遅し。
DC有終の美を飾るのにふさわしい良品だったと思います。
余談ですがニコール・キッドマンは相変わらず年齢がバグってて、たまにアンバー・ハードより綺麗に見える瞬間がありました。
もはや妖怪の・・・・いや失礼、ファンです、付き合いたいぐらいです。
ねじレート 88/100