2023 日本
監督、原案 瀬下寛之
脚本 猪原健太、瀬古浩司、山田哲弥、瀬下寛之
ガメラ大暴れでギロンがかっこよかったが、それ以外がどうかというとさてどうなんでしょうね。
NETFLIXオリジナルアニメ全6話、いわずとしれたガメラの久々な新作。
ちゃんと追ってるわけじゃないんで詳しくは知らないんですが、金子修介が監督した平成3部作以来の新作じゃないのか?これ?と。
見たのが昔過ぎて内容はっきりと覚えてないんですけど、大映時代のガメラと違って平成3部作はやたら面白かったような記憶があるんですよね。
ガメラってね、ゴジラほどこすられてないと思うんですよ。
ゴジラの新作が過去作を超えるのは相当な難事業だと思うんですけど(ゴジラ-1.0はまだ見てないが)、ガメラってまだまだいくらでもリメイクの余地がある気がするんです。
だって実質、まだ金子監督しかガメラをいじってない状態なわけだから。
四方から火を吹いて回転しながら飛ぶ巨大な亀の怪物なんて、世界を見渡しても他に類似するキャラなんていないわけですから。
こんなおいしい怪獣、もっと使い回さんかい、と。
まあ、どうしても手を出せなかった大人の事情とか色々あるんでしょうけど、それをNETFLIXがあえてやる、火中の栗を拾う(なんで火中の栗なんだよ)と言うなら、そりゃ観らいでか!と。
基本、私はシリーズものとか観ない人なんだけど、今回ばかりは主義を曲げました。
大映時代でも平成三部作でもない新しいガメラが観たい、その一心ですわな。
そしたらだ。
あれ、なんかお話が、というか登場キャラが、ガメラとの関係性が、大映時代っぽくないか?と。
大映時代のガメラって、なぜか外国人の子供が必ず一人登場したんですよね。
今回も一人いる。
ガメラがどうしてだか子どもたちの味方、という謎設定もそのままだし、子どもたちが大人たちの巨大な機関から重宝される展開も同じ。
調べてみたら、1989年が物語の舞台で過去作へのオマージュも嗅ぎ取れる仕上がりに、あえてしたんだとか。
なんだよ、それ・・・って。
大映時代のガメラを懐かしんで、おうおうこんな感じだった、と喜ぶのはもはや50代以上しかいねえぞ!って。
せっかくガメラを再起動させたのに、若い人たちがざわつくぐらいの挑戦的な試みをやらんでどうする!と。
なんでじじいのご機嫌をわざわざアニメで伺ってるんだよー!!とがっくり。
いや私もじじいですけどね、こんなの求めてないわけですよ、新しいガメラ像を見せつけてくれるはず、と思いこんでアクセスしてんだよ、こちとら(なんで江戸っ子)。
まー早くも2話目ぐらいでテンションだだ下がりでしたね、私の場合。
唯一、こりゃすげえな、と思ったのがガメラの戦闘シーンで、えっ、これCG?と見紛うほどのリアルさに感心させられたんですが(どうやってるのか、アニメに詳しくないんでわからない)、その分、人物がすごく平坦な作画で金かかってなくて結局帳消し。
とりあえずギロンの新デザインは良かった、と思います。
そこだけは評価していいと思う。
あんなやなせたかしがデザインしたかのような包丁のお化け風の怪獣をよくぞあそこまでかっこよくした。
あとはストーリーの背後にこっそりSFを忍ばせたのが好感触。
自衛隊に振られた役割も、現実味強くていい物語構成だと思った。
それぐらいかな。
逆に癇に障ったのが、少年たちに自己犠牲のヒロイズムを強いるようなストーリー展開。
子供にこんなことやらせちゃいかんと思うし、それをスタンド・バイ・ミー風のいい話にまとめようとしてる作為にも心底ムカついた。
感動乞食かよ、って。
こんなの夏休みの冒険で片付かねえじゃねえかよ!って。
まあ、毎度のことですけどね、NETFLIXオリジナルはなぜだかいつも届かないというか、本当に美味しいと思えるものがない、というか・・・。
ついつい前評判で観ちゃうんだけどね、うーん、今回はあんまりおすすめできないかな。
ねじレート 50/100