イビルアイ

2022 メキシコ
監督 アイザック・エスバン
脚本 アイザック・エスバン、ジュニア・ロザリオ、エドガー・サン・ファン

前々作、ダークレイン(2015)があまりに珍妙なアイディアをぶち込んだ映画すぎて「たぶんもうこいつは最前線には戻ってこれないな・・・」と勝手に思い込んでた(私個人的にね)アイザック・エスバンの新作。

調べてみたら知らぬ間にパラレルなんて作品を2018年にカナダで完成させていて、いやいやちゃっかりキャリアを積み上げてるじゃねえかよ、とびっくり。

完全にスルーしてたわ。

だからといってエスバンがアリ・アスターに匹敵する才能!ってのは褒め過ぎだと思いますけどね。

ま、確かに技術面の向上と言うかアカ抜けしたな、と感じる部分はあった。

ダークレインやパラドクス(2014)を見たときは、いかにもインディーズって感じだなあ、と思ったんだけど、今回は、あ、ちゃんとしてる、と思えたんですよね。

単に予算の問題なのかもしれないですけどね、カメラワークしかりジャンプスケアしかり、きちんとホラー/サスペンスの常道たる定式にのっとってるな、と。

あらまあ、なんだか大人になって、みたいな。

4作目でやっと大人かよ!と言われりゃそれまでなんですけどね。

でまあ、雑味を取り除いて口当たりを良くするというか、野放図ででたらめな挑戦をやめて真っ当に勝負することで肝心の個性、オリジナリティみたいなものが失われてしまう、ってのはよくある話で。

うん、やっちゃったな、制作側が自覚してるかどうかしらないけど。

いやー、普通だわ。

本当に普通のホラー。

おそらくミステリタッチにね、ババアは本当に魔女なのか?それとも変わり者なだけ?ってのをじっくり時間をかけて炙り出して行きたかったんでしょうけど、小さな違和感の積み上げ方といい、ミスリードの仕方といい、少女が孤立無援になる展開といい、ほぼほぼハリウッドの先達の模倣でね。

80年代にこんな映画なかったか?みたいな。

エスバンならではのクセの強さというか、なぜそっちへ行く?と見てて戸惑う頓珍漢ぶりは皆無。

NETFLIXがどこかから安く買い上げてきてみんなが知らぬ間にデータベースに追加してる無名作品並みに注目すべき点がない。

あと、この作品がよろしくないのはロジックが崩壊してることと、いくつか伏線を回収できてないこと意味不明なシーンでただ怖がらせようとしてる部分が目に付くことですね。

登場人物の行動がね、おかしいんですよ、見終わってから振り返るならね。

なぜそうする?と首をかしげてしまうような事やってる人物が若干2名ほど。

ババアの正体がアレなんだったら、そんな風にするのはどう考えてもおかしいだろ、と。

有り体に言うならミステリアスに怖がらせようとするあまり、シナリオが雑になっちゃってるんですよね。

そのあたり、いかにもメキシコらしいお国柄というか国民性なのかもしれないですけどね、細部を整えて矛盾のないようにしないと、ここより上のステージには絶対に行けないぞ、と私は思う次第。

主人公の少女の追い込み方は悪くなかったですが、じゃあ怖かったか?と言われれば怖くはないし、スリリングだった?と聞かれればそうでもない、としか言えない一作。

残念。

もう見ないかな、エスバン。

とりあえずグッド・ネイバー(2016)でも見て勉強してくれ。

ねじレート 35/100

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