カナダ 1975
監督、脚本 デヴィッド・クローネンバーグ
人間を色情狂にする寄生虫が狂信的な教授の手で作り出され、隔離的環境の島で爆発繁殖する、というストーリーのなんだかよくわからないパニックSF。
うーむ、クローネンバーグも1日にしては成らず、といった感じですかね。
物語の骨格は後に発表されたラビッドとほぼ同じだと思います。
デティールが違うだけ。
この作品が致命的なのは、人間の内臓の代わりをする寄生虫と言うフェイクを前フリでちらつかせつつも、結果的にそれが全くなんの意味もなさなかったことと、人間をエロエロにしてどうしたいわけ、というのが全く見えてこない、という点、それに尽きるでしょうね。
感染してしまったことがどう致命的なのか、さっぱりわからないんですよね。
むしろ一定の男子諸君は進んで感染したい、と思うかもしれない。
後一歩踏み込んで、寄生虫の生態に言及するなり、色情狂化してしまった人間の子供はどうなるのか、まで描写していたらまったく感触は違ったか、と思うんですが、この状態では半分ギャグともとられかねません。
なんだか知らないが、監督は医療に対して根強い不信感があるみたいだなあ、と思ったりはしました。
コアなファン向け。
クローネンバーグじゃなかったら歴史に埋もれ、消えていた作品かもしれません。