木曜日のリカ

1971年初出 小池一夫/松森正
スタジオシップ 全5巻

凄腕女性工作員みたいな感じの主人公リカが、いろんな事件に首をつっこんで勝手に大活躍するヒロインアクション。

あえて「凄腕女性工作員みたいな」と書いてるのは、単純にミカが何者なのかよくわからないからです。

作中では、ただひとり女でノーベル殺人賞をもらった人物、と書かれてますが、いやいやノーベル殺人賞って、なんやねん?!という話であって。

小池先生、今回ばかりはさすがにハッタリが過ぎやしませんか?と。

そもそもですね、殺人の技術を高く評価されたからって、それが生きていく上でどう役立っていくわけ?ってことであって。

警察や軍隊ですら扱いづらいですよ、人殺しが得意な人物なんて。

唯一、評価が生かされそうなのは傭兵とか、諜報機関ぐらいしか思いつかない。

けど主人公ミカ、なんか組織に属してるようには見えないんですよね(のちのち背後に組織があるようなエピソードが挿入されるが)。

自由意志で、己の正義感を指針に、勝手に事件解決に乗り出してくる(ようにみえる)。

凄腕だかノーベル飴だかなんだかしらないけど、関係者や警察にとっちゃあ迷惑この上ない。

なんでこうものれない初期設定にしたのか?と思いますね。

ユキの能動性の礎となるものがなんなのか、さっぱりわからないから、いくら人のために身を挺していてもたんなる酔狂な人にしか見えなくて。

別に秘密機関でもCIA所属でもなんでもいいから「男もかなわぬ紅一点」にしておきゃよかったんじゃないのか?と思うんですけど、なにかしら意表をつきたかったんだろうなあ。

女性を主人公にしたアクションをやりたい、というのがおそらく前提にあったんでしょうね。

他はあとから肉付けしていきゃいいか、みたいな。

当時、少年キングに連載され、1巻が発売されるもあとが続かなかったみたいですから、人気も振るわなかったよう。

篠原とおるのさそりが1970年から連載が始まって、人気沸騰してた時期ですから、小池先生、俺だってやれる!と思ったのかもしれません。

今、あらためて再評価するのはなかなか難しいかと。

松森正の作画は素晴らしいんですけどね、小池ヒロインアクションが結実するのは修羅雪姫の発表を待たなくてはならいように思います。

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